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継続の力に世界的評価

「百年観測所」認定を喜ぶ

 お天気情報というのは日常生活に欠かせないものである。災害予防のための情報は命にかかわるだけに最も重要だ。農業にとっては昔から月や星の動きを頼りにしてきた歴史がある。こうした情報を百年以上も継続して発信するのはたいへんな仕事だと思う。

 ■日本一の偉業

 石垣島地方気象台(野崎太台長)が世界気象機関(WMO)の「百年観測所」に選ばれその認定プレートの除幕式が開かれた(6日付1面)。国内唯一、世界でも116番目というからたいへんな名誉である。で、「百年観測所」とは何か。気象庁の報道発表資料によるとWMOは気象監視にとって不可欠な長期間にわたる質の高い気象観測データの重要性を踏まえ、気象観測所の重要性を世の中に広く知ってもらい、これからも継続を促すために導入した制度だという。

 ここで重要なのは「長期間にわたって」という点。これを百年以上としている。しかも同じ場所でというのである。さらに過去の観測データと観測所情報を全て保存している点など9項目を認定基準にしている。那覇の沖縄気象台でさえ若狭からガジャンビラ(垣花町)、天久から現在の樋川と何度も移転しているほか、火事などでデータや資料を焼失している。

 ■定点観測貫く

 石垣島地方気象台は1896(明治29)年、前身の石垣島測候所の開所以来122年間ほぼ同じ場所で観測を続けてきた。同じ環境でデータを取り続けることによって地球規模で気象の変化が高い精度で把握することができるということだろう。しかもその間には戦争があった。

 石垣島地方気象台といえばテンブンヤーのウシュマイと呼ばれた岩崎卓爾(1869~1937)が有名。仙台市出身の気象技術者で石垣島測候所開所2年後の1898(明治31)年に第2代所長に就任以来40年間島で過ごした。その間に八重山の歴史、民俗、生物など幅広く研究、国内最小のセミとして知られるイワサキクサゼミにその名を残している。

 石垣島とともに岩崎の存在を全国的に知らしめたのは1974年3月、20回にわたって放送されたNHK銀河テレビ小説「風の御主前」だろう。原作は県出身芥川賞作家の大城立裕さん。主演の高橋幸治さんはその5年前に放送された大河ドラマ「天と地と」で武田信玄を演じたのでよく知られた実力派俳優だった。

 ■岩崎翁に思い

 その岩崎卓爾について元八重山毎日新聞社社長の村山秀雄さんがその著書「不連続線」(八重山毎日新聞社)で次のように書き残している。

 「当時少年の筆者の知っている岩崎卓爾さんはヘチマ帽に眼鏡をかけハカマ、ゲタ、ステッキの姿であり、子どもの目には奇人のようにうつり六十代以上の人でも、もう伝説的な人になってしまった」

 気象台を退官後も島で過ごし告別式には千人余の会葬者が訪れたというからその親しまれようがうかがえる。

 百年観測所の認定自体は昨年5月に受けており、今回はそのプレートの除幕式が行われたということだ。岩崎卓爾の遺徳をしのび、認定をたたえたい。

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