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世界に逆行の陸自配備

戦闘想定し奪回作戦分析

 先週は朗報と心寒々となるニュースが同時に飛び込んでくる複雑な週だった。宮古島の「パーントゥ」がユネスコの無形文化遺産への登録が決まったことと防衛省が考えている自衛隊の「機動展開構想概案」が明らかになったことである。

 ■共通点に驚き

 宮古島の島尻と野原に伝わる来訪神「パーントゥ」がユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産への登録が決まった。パーントゥというのは行事のことではなく、行事に登場する仮面神のことのようだ。では行事は何と呼ばれているか。島尻は「サトゥプナハ」、野原は「サティパロウ」と言う。八重山のアンガマに置き換えると行事の名称がアンガマで主役はウシュマイ(翁)、ンミー(嫗)というのと同じである。

 今回登録が決まったのはそのほかに秋田県の「男鹿のナマハゲ」、岩手県の「吉浜のスネカ」など9件である。9件全部を動画サイトで見ると驚いたことに川平の「マユンガナシ」とそっくりの行事がある。佐賀市蓮池町見島に伝わる「見島のカセドリ」である。手ぬぐいでほおかぶりをしてみのかさを着けた二人一組の神が青竹を持って集落の各家庭を訪問する。

 ■登録の利点は

 六尺棒のように持った青竹は先から中ほどまでさかれていて、激しく床に打ち付けて音を出す。厄払いの意味があるようだ。しばらく打ち続けると酒などが出されそれを顔を上げないようにして飲む。

 日本民俗学の父と言われる柳田国男はその著書「蝸牛考」で「方言周圏論」を唱えた。言葉は同心円状に伝ぱし、外側に行くほど古いとする学説である。八重山に古い日本語が残っているというのはそれに合致すると言われる。民俗行事に敷えんして考えると興味深いのが「マユンガナシ」と「カセドリ」である。

 ところで無形文化遺産に登録されるとどんなメリットがあるのだろうか。特に保存のための補助金が交付されるわけではなく、世界的に注目を集める名誉が与えられる。観光客が増えるなどのメリットは地域によっては迷惑と受け取る向きもある。従って必ずしも朗報ではないかもしれない。八重山もそうだが、ニライカナイ思想が息づく沖縄には数多くの来訪神がいる。それが生き生きと受け継がれているなら登録を目指す必要はないのではないか。

 ■具体性に脅威

 こうした日本の無形文化遺産に世界が注目する一方で明らかになったのが今回の自衛隊の「機動展開構想概案」である(1日付1面)。「南西諸島での将来における戦い方」として石垣島が侵攻されたことを想定して島の奪回のための作戦を立てている。石垣島への陸上自衛隊配備計画が表面化する前の2012年にはすでに作成されていたというから驚きである。

 石垣島での戦闘をかくも具体的に分析している事実にさすがの配備計画誘致派も驚いているのではないか。島の住民をよそに沖縄戦の再来を想起しているのだから。ユネスコの無形文化遺産登録と考え合わせると平和を求め紛争を忌避する世界の流れに逆行するものと言わざるを得ない。

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