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常設映画館復活を望む

「四町内キネマ館」に拍手

 文学作品で人生を変えられたと振り返る人は多い。同様に映画も人の人生に与える影響が大きい。限られた空間で非日常の世界に身を委ね深く考えをめぐらせる。それが人によっては時として大転換になるのだろう。

 ■高齢者に元気

 登野城四町内会(向井信夫会長)が11日、手づくり映画館「四町内キネマ館」を開催、地域の高齢者を無料招待したという記事(16日付3面)を読んで思わず「粋なことをするなあ」と思った。上映したのは昭和の歌姫と呼ばれた故美空ひばりさん主演の映画だったそうだ。

 記事と写真からお年寄りらが懐かしそうに鑑賞している様子が伝わる。きっと見終わった後、思い出話に花を咲かせたのだろう。いや上映中から隣同士で話していたに違いない。そんな気がした。

 映画が衰退したのはテレビの影響が大きいとされる。茶の間で居ながらにして映像が見られるのだから、こんなに便利なものはない。だが、経済成長とともに核家族化が進み、結果的に独り暮らし老人なども増えた。こうしたお年寄りたちがお出掛けし、映画を鑑賞するのは会場で多くの知り合いに再会し、会話も弾むことになるだろう。とても有意義なことではないか。出掛けるためにおめかしもするだろう。

 ■小規模でいい

 願わくは石垣市内から姿を消して久しい常設映画館の復活を望みたい。どんなに小さくてもいい。いつも映画が見られる施設が欲しい。全国的に邦画の力作が増え、それとともに映画業界も活気を取り戻しつつある。那覇の桜坂劇場は老朽化、衰退した映画館を若者らが中心になって再生させ、成功している。会員を増やし、定着させる方策としてファンクラブ制を採用し、ポイントがたまると無料で映画が見られる仕組み。水、木曜日は2倍デー。

 沖縄市にはドーナツ屋さんと映画館が一体化した小規模映画館「シアタードーナツ・オキナワ」が頑張っている。映画館の受付でチケットと同時にドーナツを買って、それを食べながら映画を鑑賞する。個人のホームシアターのようなかわいい映画館。時間になると係が来て機器のスイッチを入れる。

 ■大正期に原点

 ところで八重山で映画が上映されるようになったのはいつごろだろうか。「石垣市史各論編民俗下」に次のような記述がある。

 「石垣の町に初めて活動写真が来たのは、記憶に間違いがなければ大正十年前後だったと思う。登野城校の深い井戸のあった築山の東校庭で、白い幕を立て、人が手でフィルムを回し、楽隊と活弁がついていた。夕食はそちのけ四か字中の人がワンサと押しかけ、たちまち青天井の運動場は超満員。頭、アタマをどけろ、見えない、オイ立つな、座れの怒号が飛びかい、大変な騒ぎ」

 述懐しているのは元八重山毎日新聞社社長の村山秀雄さんである(「不連続線」所収「ああ、活動写真」)。フィラリア撲滅のための野外上映会の記憶がよみがえる60代も多いのではないか。公衆衛生目的の映画ではあったが、夜の闇を天然の映画館にして、なぜかワクワクしたものだ。

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