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72年を迎えた「とぅばらーま大会」

画一的な歌唱と高まる作詞熱

 ■少ない八重山の月の異名

 きょうは旧暦の8月13日。明日(14日)の夜は待宵で、夜のことを小望月という。明後日は名月の十五夜。16日はいざよいである。その後は、立待月、居待月、寝待月(臥待月)更待月、有明の月など『俳句歳時記』をめくれば日ごとに月の異名が出て来る。日本人がいかに月を賞(め)で暮らしてきたかが分かる。

 八重山は1970年代前後まで、ランプ生活をする地域もあり、月のない夜は深い闇に包まれていた。それだけに、月への思いは強いものがあった。わらべ歌や民謡などにその心情がよく表れている。しかし、月の名称に関する語彙(ごい)はそう多くはない。三日月、若月(バガツィキ)十三日月、十五日月、二十日余の月等で異名がないのが不思議である。

 旧暦八月十三夜といえば「とぅばらーま大会」である。大会は本日、午後6時20分から新栄公園で開催される。ことしの大会は歌唱の部に36人が申し込み、審査の結果23人(関西代表も含む)の本選出場が決まった。

 また、作詞の部は審査が終わり登野城の前花吉子さんが最優秀賞、他に優秀賞二人、佳作1人、特別賞に白保、石垣第二、大浜の各中学校が選ばれた。ことしは、441人から511点の応募があり、そのうち、中学生は410人から455点と過去最多の応募数となった。「しぃまむに」(地域のことば)への関心が高まっていることは喜ばしい。

 ■中学生の作詞

 中学生の作詞の部は、1998年、石垣第二中学校が「ふるさと学習」の一環として応募した生徒の作品47点に始まる。

 「ふるさと学習」に「とぅばらーま」の作詞を取り上げたのは金城綾子教諭であった。あれから20年、彼女の熱意は今に伝わり広がりをみせている。

 「しぃまむに」には地域の歴史や文化が凝縮されている。「むにばすきっかー、しぃまばすきん しぃまばすきっかー、うやばすきるん」(島の言葉を忘れたら、島を忘れたも同然だ。島を忘れたら、親も忘れたことだ)ということわざがある。

 箴言(しんげん)であろう。祖父母や、親たちと作詞に挑んだ中学生たちは、言葉に込められた意味を通して郷土の豊かな歴史文化に触れたことだろう。また、現代人として「しぃまむに」では言い表せないギャップも感じたことだろう。これを機会に中学生たちが、「とぅばらーま」により関心を示し将来を担うことを期待したい。

 ■自己の歌を

 とぅばらーま大会は1947年9月30日、今は無き「海南時報」主催で開催された。翌年からは作詞も公募された。大会は主催者の変更や中断、審査なしもあったが、息の長い大会は全国的に珍しく誇りだ。

 歌唱の部は古典民謡会派の節回しのとぅばらーまの普及で、画一的で、個性がないとの厳しい批判も多く聞かれる。それは会派として致し方ない面もあるが、「うたーいず すどぅぬし」という言葉があるように、物まねの域を脱して個人本来の歌を聞かせてほしい。

 近年は「野(ヌ)とぅばらーま」や与那国島の「トゥバルマ」なども登場して大会を盛り上げている。これらの伝統的な歌も多く人々に歌われることを望みたい。

 昨日は、県知事選に次いで県議会議員の補欠選挙も告示され、選挙熱が高まっているが、今日は十三夜の月を眺めながら、静かにとぅばらーの世界を堪能したいものだ。

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