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しがらみを乗り越えて

八重山商工で「主権者」授業

 3市町議会議員選挙が終わったと思ったら今度は県知事選。今月いっぱいは選挙モードに包まれそうだ。そんななか八重山商工高校で市議会議員立候補者の政策を吟味する授業が行われた(13日付9面)。2016年に選挙権を行使できる年齢が18歳以上に引き下げられたことに伴う「主権者教育」という。

 ■政治参加学ぶ 

 主権者教育。あまり聞き慣れない言葉だが、選挙を通じて政治に参加できる、いわば大人としての教育だ。有権者教育と言い換えてもいいだろう。特に地方においては政治信条より地縁・血縁が優先する地域共同体ならではの事情というのがある。そうしたしがらみを超え政策本位の政治を考える習慣を選挙権が得られる高校生のうちに付けさせようという授業である。 

 生徒らはグループに分かれて各候補者の政策を読み、話し合い、意中の人を決めるまでを模擬体験している。

 選挙で選ばれた住民代表による政治というシステムはもともと、外来の文化である。明治6(1873)年、大久保利通、木戸孝允ら政府の派遣した岩倉使節団一行が帰国する。欧米先進国の実情をつぶさに視察した彼らは日本の立ち遅れを痛感、立憲政治の実現を急いだのである。

 ■個の確立前提

 第1回総選挙が行われたのは明治23(1890)年7月1日である。大日本帝国憲法下で施行された最初の衆議院総選挙で明治22(1889)年2月11日に憲法とともに公布された衆議院議員選挙法に基づき実施された(『日本史事典』、朝倉書店)。まだ130年にも満たない歴史しかないのである。

 このように選挙はまだ十分に根付いていない制度とも言えるが、重要なのはシステムを支える精神というのが欧米とは違うという点である。つまり欧米の場合は「個の確立」が前提となった上での選挙であるのに比べ日本の特に地方社会では地縁・血縁がものをいうのである。「ドブ板選挙」などという言葉がそのことを象徴している。

 ところで、この主権という意味で個人の意思の反映を考えると今回の市議会議員選挙の結果、得票数上位5位までを見ると陸上自衛隊配備に反対する候補者が5062票で賛成派の1313票を大きく上回ったのは重要だ。 

 全立候補者30人の得票数を賛否別でみると「反対」(12人)が1万545票と「賛成」(13人)の9716票を829票上回る結果だった。「慎重」(3人)は2946票、「その他」は2023票だった(11日付9面)。

 ■民意は出たか

 議席数では13対9と賛成派が上回ったことから中山義隆市長は「民意は出た」と意を強くしているようだが、そこに間接民主制と直接民主制の違いがあるとも言える。つまり住民が意思を託した代表の数は賛成派が多いが、全体主義(総会)で決を取れば反対派のほうが多いのである。授業を受けた高校生らはどう考えるだろうか。

 一方、有権者数は今回が3万8674人で前回から1477人増加したにもかかわらず投票率は前回より4・36ポイント低い65・73%だった。増加分が18歳、19歳の若者と考えると深刻な結果ではないだろうか。やはり「主権者教育」が必要だと言わざるを得ない。

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