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自然遺産登録延期を惜しむ

猶予を有意義なものに

 ■登録は最短でも2年後

 今夏に想定されていた世界自然遺産「奄美大島・徳之島・沖縄島北部および西表島」について、ユネスコの諮問機関・国際自然保護連合(IUCN)は、推薦書の抜本的な改定を求め「登録延期」を勧告した。

 「登録延期」は、登録の可能性を認めつつ、より精密な調査と推薦書の改定を必要とする。推薦書の再提出は現地調査を改めて実施するなどの作業を要することから、登録は最短でも2年後の2020年となる。

これにより今夏の登録は事実上困難な状況となるが、環境省は早期実現を目指す方針に変わりはないものの、推薦書の取り下げも選択肢として判断することにしている。

環境保全を思えば自然遺産への登録延期は惜しまれるが、観光客増加による課題への対応など実効性のある対策のための時間的な猶予と考えることも可能だ。行政と住民双方の取り組みが求められる。

 ■延期の要因は「分断」

 登録候補地の4島は、大陸から島が分離する過程で生物が独自の進化を遂げ、多様性に富んだ生態系をつくり上げたのが特徴。環境省は候補地一帯を国立公園に指定している。

 登録のための二つの評価基準のうち「生態系」では、推薦地が分断され本島北部と徳之島では飛び地もあることから「基準に合致しない」と評価された。

 「生物多様性」ではイリオモテヤマネコなど固有種や絶滅危惧種の多さが評価されたが、米軍から返還された北部訓練場の一部を推薦地に加えるなど、区域を見直せば「基準合致の可能性がある」とされた。

 当然のことながら、動植物は陸続きなら自在に往来、分布する。人間が引いた線の向こうとこちらの、どこなら保護されるかなどという状況にない。

 推薦地のやんばるは、米軍返還地の国立公園指定を急ぎ推薦地に含めるべきであったし、返還地の一部を飛び地で推薦したことも悔やまれる。

 北部訓練場は2016年12月に大半の4000平方㍍余が返還された。ほぼ国有地で、今年7月には国立公園指定が予定されている。残った訓練場区域では新たに六つのヘリパッドが造成され、オスプレイが激しい訓練を続けている。

 本来がひと続きのやんばるの森で世界自然遺産として保全する区域と、訓練にさらされる区域を分けて環境を守ることが、そもそも困難である。訓練場の全面返還を求める。

 ■実効性ある対策確立を

 県が昨年西表島で実施した世界自然遺産登録に関する住民アンケートでは、「全く望ましくない」「望ましくない」が41%、肯定的な評価は28%で、不安感が示された。

 西表島への観光客数は現在、30万~40万人とされる。登録によって予測される入域観光客の増加、地域振興への期待の半面、自然や生態系、生活環境への影響を懸念する不安も。

 観光客の「総量規制」を求める声がある一方で、イリオモテヤマネコの輪禍は後を絶たない。実効性のある対策が求められる。

竹富町はツアーガイドの認証制度を前提としたガイド届け出を義務付ける条例案を検討中という。

 登録延期を惜しんでも、もはや今夏の登録は困難だ。ならば、住民の不安に向き合いつつ、実効性のある対策や万全の環境保全への対応を確立したい。

 世界自然遺産登録はゴールではなくスタートである。環境省だけでなく沖縄県、地元竹富町の奮起を求める。

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