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自作ロケット 夢乗せ大空へ

「小惑星探査機はやぶさ」に憧れて、ロケット研究に励む石垣第二中学校1年の岡部壮良君=2017年11月20日午後、真栄里公園

「小惑星探査機はやぶさ」に憧れて、ロケット研究に励む石垣第二中学校1年の岡部壮良君=2017年11月20日午後、真栄里公園

2017年8月1日の実験で使用した全長31・2㌢のモデルロケット

岡部壮良君(石垣第二中1年)
自分の「はやぶさ」作りたい

 たった一人でロケット研究に取り組む少年がいる。石垣第二中学校1年の岡部壮良君(そら・13)だ。「最終目標は自分の『はやぶさ』を作ること。失敗しても諦めずに実験と考察を繰り返し、糸川博士のような社会や科学技術の発展に貢献できる科学者になりたい」そう力強く宣言し、昨年夏には全長31・2㌢のモデルロケット打ち上げを成功させるなど、目標までの距離を一歩、また一歩と縮めている。故・糸川英夫博士に憧憬の念を抱く科学少年は、知的好奇心と行動力を武器に、小さな南の島から果てなき宇宙を目指す。

 「すごいなぁ」―。

 岡部君がロケット研究を始めたきっかけは、6歳の頃、テレビで「小惑星探査機はやぶさ」が地球に帰還する様子を目にしたことだ。

 燃料漏れや電力不足、エンジンの異常停止など数々の危機を乗り越え、ミッションを成功させた日本の宇宙開発技術に感動を覚えたという。

 同時に、「ロケットを作り、打ち上げたい」という目標も。「ロケットは何の原理で動いてるのか。まずは物理学の基礎を勉強しよう」と、小学校時代から物理学をテーマに自由研究に取り組んできた。

 小学3年生で振り子の性質について、4年生では滑車、5年生のときには圧力、6年生で電気と磁気をそれぞれ自作装置で研究。各研究は、沖縄県児童生徒科学作品展で最優秀賞と2度の優秀賞、佳作を受賞した。

 「身近なものから、興味のあることを。仕組みや理由が分からないものを実験する」と語る岡部君。

 そんな岡部君を両親は「知的好奇心が旺盛で、負けず嫌い」と言う。毎年、家族で訪れている国立科学博物館には開館から閉館まで滞在。特定分野にとどまらない興味関心ゆえに、気付けば館内を1万歩以上、歩き回ってしまうそうだ。

 昨年8月1日、これまで蓄えた基礎物理学の知識を土台にして、ロケットの安定飛行に向けた「モデルロケット打ち上げ実験 その1」を実施。

 だいだい色のモデルロケットを▽重心位置▽エンジン出力―の条件別に発射し、飛行距離や落下距離・方向、空中体勢の変化などを比較、各種データを収集した。

 「今回の高度測定は目視だったので、誤差が生じた。ロケットにセンサーやカメラを装着して、無線送信でより正確なデータの収集を目指したい」

 改善点を見つけた岡部君は、同実験のために取得した民間資格・モデルロケット第3級ライセンスに続き、第3級アマチュア無線技士免許を取得した。

 今後、ロケット打ち上げに大きく関わってくる▽危険物取扱者▽気象予報士―の資格取得も視野に入れている。

 平たんではない研究への道のりを「自分がやりたいものをやる過程で、楽しくないこともある。(実験を)やらなければよかったと後悔する時もある」と振り返りながらも、「ここでやめたら、そこまでやってきた勉強の意味がなくなるから」と力を込める。

 岡部君は現在、科学技術振興機構(JST)主催のジュニアドクター育成塾「美ら海・美ら島の未来を担う科学者養成プログラム」に参加。応募者90人の選抜試験を勝ち抜き、琉球大学で週に1度、より高度で専門的な知識を学んでいる。

 2018年の実験は「ロケット本体を今回の約3倍の大きさに。エンジンも大きくして、150㍍以上の打ち上げになる。飛距離を確かめて、フィンの形による飛び方の比較もしたい」と意気込む。

 幼少期、七夕の短冊につづった願いは「たんさきはやぶさをつくるひとになりたい」。岡部君と宇宙との距離が少しずつ、近づいている。

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