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危機的状況の文化財行政

建議書不採択の誤り正さず

 ■建議書をめぐるあつれき

 石垣市教育委員会と文化財審議会の間で「建議書」をめぐってあつれきが生じている。

 事の発端は石垣市文化財審議会(石垣博孝委員長)が「石垣市文化財審議会に関する規則」の第2条3項「審議会は石垣市に存在する文化財の保存、並びに活用に関する重要事項について委員会に建議することができる」という規定に基づいて「大浜町浄水場跡に係る建議書」を提出したことに始まる。平成29年度第1回教育委員会定例会議(4月)で原案として取り上げられ全会一致で建議書を不採択とした。このような事例はおそらく全国的にも例がない。前代未聞のことだ。

 そもそも文化財審議委員は教育委員会が文化財に関する豊富な知識をもつ専門家や学識経験者を委嘱している。

 自ら委嘱した委員の建議書を不採択にするということは、身内の意見や要望を申し述べることを自ら否定することである。

 建議書や要望書は政府や役所にとって都合の悪い内容でも意見や要望として受け取るはずだ。それを採決するようなものではあるまい。

 ■意味不明な回答

 5月に開催された文化財審議会では不採択について委員から疑義があると声が上がり、石垣委員長が石垣教育長に文化財審議会が建議したのを教育委員が不採択にすることはできないと取り消しの申し入れを行った。

 それを受け事務局では検討が行われたが一度決定した議案を修正することは困難であるとして、撤回に応じないと決めた。そして「不採択という結果は、建議書で述べられた浄水場施設の歴史的遺産としての価値の自然環境の重要性を記した建議理由や石垣市文化財審議会に関する規則第2条第3項に規定される任務を否定するものではありません」と教育長名で石垣委員長宛て回答書が出された。

 回答には「不採択にしながら文化財指定部分を除いたところを活用していきたい」とまったく不可解な内容も記されている。教育委員はこのような意味不明の文章を知っていたのだろうか。

 この回答文書は教育委員会定例会などに諮っての回答だろうか。議事録を見る限り定例会で話し合われたようには思えない。

 10月の文化財審議会でもこの問題が取り上げられ、委員からは不採択や教育委員に対する反発の声が上がり、浦崎英秀文化財課課長は教育長にそのことを伝え、報告したいと述べている。

 しかし、10月の教育委員会定例会では、議題にさえも上がっていない。いったい、どこでこの問題は論議され処理されているのだろうか。議事録に残さない非公式の場で論じられているとすれば問題であろう。

 ■市長への忖度(そんたく)

 にもかかわらず、11月10日文化財審議会の石垣委員長、石垣久雄副委員長に浦崎課長が現状の説明報告をしたが、内容はほとんど同じであった。

 浦崎課長は10月の文化財審議会の答弁で不採択を誤りと認め謝罪した。だとすれば、先の議案も取り下げるべきだ。

 建議書を不採択にするという前代未聞を演じた教育委員たちは審議をやり直し、取り消すべきだろう。でなければ、教育委員の汚点はもちろん、委員としての資質も問われかねない。

 法改正によって教育長は市長が議会の同意を得て任命する。そのため、教育長や教育委員は市長に忖度でもしているのだろうか。

 文化財審議委員の一人は「この問題は根本的に通常の文化財保護の手続きから誰かが意図的に逸脱させた。それに、教育委員が乗っかった。悪例だ」という。

 教育委員が市長に忖度しているのであれば石垣市の文化財行政は危機的状況だ。

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