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4氏の受賞決定 第33回八重山毎日文化賞

右上から左回りに正賞の戸眞伊擴氏(76)、得能壽美氏(60)、奨励賞の山根頼子氏(61)、特別賞の崎原恒新氏(74)

右上から左回りに正賞の戸眞伊擴氏(76)、得能壽美氏(60)、奨励賞の山根頼子氏(61)、特別賞の崎原恒新氏(74)

正賞に戸眞伊氏、得能氏
特別賞・崎原氏、奨励賞・山根氏

 八重山研究や芸術文化の振興に顕著な業績をあげた人を表彰する第33回八重山毎日文化賞(八重山毎日新聞社主催)の選考委員会がこのほど開かれ、木工品製作で島材の普及に尽力している戸眞伊擴氏(76)=石垣市石垣=と、八重山の歴史や文化研究に情熱を注ぎ、貢献してきた得能壽美氏(60)=千葉県松戸市=が正賞、八重山の文化や風習の研究に取り組んでいる崎原恒新氏(74)=沖縄市=が特別賞、八重山資料の発掘と保管、活用について研究活動を行っている山根頼子氏(61)=石垣市新川=が奨励賞に選ばれた。贈呈式は25日午前11時から、南の美ら花ホテルミヤヒラで開かれる。

 

 【正 賞】戸眞伊擴(とまい・ひろむ)氏(76)=石垣市石垣=

 1940年、西表島船浮生まれ。15歳で石垣市の田代木工所に就職して16年間修業し、30歳で「トマイ木工所」を開業した。73年から家具や造作のほかに、八重山上布やミンサー用の織機、小道具を作り始め、織機はこれまでに300台以上を製作。島材の美しさや指し物の技術を生かした小道具は、県内の織物関係者に広がりをみせている。

 2001年に県工芸士に認定。10年に沖展木工芸部門が新設されて3年連続で入賞を果たし、12年に同部門の会員に郡内から初めて推挙された。15年には森の名手・名人にも認定。同年に島産材の加工技術や知識の継承、普及を目的に結成した「モッコク会」の会長も務め、精力的に取り組んでいる。

 初代沖縄開発庁長官を務めた故・山中貞則氏と直接面識はないものの、竹富町役場や石垣市役所を介してひねり組接ぎ重箱やセンダンで作った書類入れなど3作品を贈ったことがあり、「(山中氏が)感動していたと聞いて驚き、うれしかった」と思い出す。

 「木工に携われたのも自然に囲まれた船浮で生まれ育ったから」と古里に誇りを持っている。受賞に「大変光栄。賞に恥じないよう島材の良さを伝える活動を続けていきたい」と意欲を語った。

 

 【正 賞】得能壽美(とくのう・としみ)氏(60)=千葉県松戸市=

 1957年、静岡市(旧清水市)生まれ。東京都内の高校を卒業後、日本大学大学院人文科学研究科修士課程史学(日本史)専攻を修了。現在は法政大学大学院で琉球史を教えている。

 82年ごろから35年間、東京・八重山文化研究会に携わり、2007年からは世話役として献身的に活動。2000年から07年の7年間は、八重山博物館や石垣市史編集室(当時)に勤務し、「市史叢書」の古文書翻刻と現代語訳の大部分を作成した。

 「近世八重山の民衆生活」や「白保村」などの著書、「八重山の家譜仕次証文」など多数の論文を発表。特に「近世ー」は「八重山の方々が島を越えた生活をしていたことが歴史の資料で実証できた。(自身にとって)歴史研究の大きな転機になった」と振り返る。

 99年の八重山毎日文化賞奨励賞受賞後も八重山の歴史や文化研究の道をまい進し、多くの成果を挙げている。受賞に「離れているにもかかわらず、八重山の文化や中身を1番理解して下さっている方々に選んでいただいたという意味で1番うれしい賞」と喜び、「今後も資料の発掘や論文の執筆を続けながら、一つの大きなテーマで八重山の歴史をまとめ、八重山の方々に恩返しができれば」と目標を語った。

 

 【特別賞】崎原恒新(さきはら・こうしん)氏(74)=沖縄市=

 1943年、与那原町生まれ。64年から5年間、石垣中学校、96年から3年間は、教頭として白保中学校で勤務。2013年から2年間は県文化財審議会会長を務めたほか、沖縄市文化財調査審議会委員なども歴任し、県内各地域の文化財調査や市史・村史編さん事業に携わった。

 石垣島に赴任した翌年の65年に「八重山郡黒島の葬制」を執筆。その後も「八重山の豊年祭」や「八重山辞典」、「八重山開拓文献・資料目録」など祭りや信仰、芸能など八重山の文化や風習に関する研究論文や著書を数多く発表した。

 現在は、沖縄市史編集委員や恩納村誌専門部会、北谷町文化財調査審議会などの委員を務め忙しい日々を送っている。

 受賞に「どうして自分が選ばれたのか。予想もしておらず驚いている」と喜び、「昔のことを知っている方に今のうちに話を聞いて調査記録を残しておけば今後、それが役に立つ。若い研究者の今後の参考になれば」と沖縄の文化人類学のさらなる発展に期待する。

 

 【奨励賞】山根頼子(やまね・よりこ)氏(61)図書館司書=石垣市新川=

 1956年、石垣市新川生まれ。83年から、沖縄県立高校の学校司書を務め、ことしで35年。2014年から『月刊やいま』(南山舎)で、さまざまな八重山の文献を多角的に紹介する「資料こぼればなし」を連載し、市民の文化的関心を呼び起こしている。県立図書館分館の存続を求める運動の中で、市民にもっと図書館資料の大切さを伝えたいと感じたことが、執筆のきっかけだった。

 郡内の学校司書や、図書館を良くしたいと願う人々と垣根を越えて協力し、2013年に「子どもと図書館講座」を開催。そのほか、論考発表などの活動を通して、八重山の研究、資料保存に貢献している。

 受賞に山根さんは「南山舎なしにはあり得なかった受賞」と感謝し、「八重山の人々が、それぞれの人生とつながっている文献の魅力を立体的、重層的に感じることができるよう、両者を結びつける活動を行っていきたい」と決意を語った。

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