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平和をつなぐために

指導力を高め平和学習の充実を

■指導に自信が持てない教師たち

 沖縄市が平成25年に実施した教員の意識調査で平和教育について「進め方が分からない」が33%とあった。高い割合である。これが算数(数学)や国語等の教科であれば、由々しき問題扱いになるのは必至だ。去る大戦で数多の悲劇に見舞われた沖縄県は「平和教育の充実」を掲げ、「平和教育指導の手引き」も出している。教育課程に位置付けられず、学習指導は各教師に委ねられ、かつ「指導時間がない」(先の調査で26%)という事情も理解できなくもないが、教師側の問題意識の低下も背景にないだろうか。知人の中学校教諭に尋ねたら「八重山も似たような状況だと思う」だった。平和月間の6月は中体連の大会や校内運動会、定期テストの取り組みで多忙のため主体的に平和学習に取り組めているのは一部の生徒だと思うが、月間にとどまらず日頃の学級活動や道徳で人権のかけがえのなさや平和の尊さを取り上げることが大切だとも話した。

■戦争体験の有無を超えて

 ひと昔前の教師は押しなべて平和学習の指導に熱心であった。かつて教え子を戦場に送り出した自責の念や深い反省、そのことに思いを致し共有できた後輩教師たちの使命感がそうさせたのだ。戦後70年余り一度の戦争もなかったことと、その気合のこもった平和学習の実践は無縁ではないだろう。

 学校から戦争体験者や続く世代はいなくなったが、平和教育の推進力を弱めてならないことは言うまでもない。今こそ教師の戦争と平和についての深い知識や洞察力、高い指導力が求められるだろう。なぜ戦争が起きるのか、その芽を摘むにはどうすればいいのかを教壇で伝えていただきたい。

 それと想像力だ。率先垂範戦時下の飢餓や戦場での人間性の喪失、肉親を失った悲しみの大きさ等々について豊かな想像力を獲得した上で子どもたちに対していただきたい。先の教諭は尖閣列島戦時遭難事件の証言集「沈黙の叫び」を授業で扱いたいと話した。中でも飢餓等極限状況下で孫娘を必死に守る老女の情愛と、それとは真逆の戦争を考えさせたいと言う。紙芝居も作らせ、まとめる過程、発表の場も大事にしたいと継いだ。取り組みを期待したい。

■正念場の平和教育

 不寛容社会と言われる。他者への思いやりの後退であり、痛みを感受する力の鈍磨化だ。このことは争い事が生じやすくなったことを意味する。政局もきな臭い方向にいくように思われてならない。元校長から聞いた話だが、一人の保護者が6月になると憂鬱(ゆううつ)になると口にした。どうしたのか問うと、すかさず平和月間の取り組みはやめてくださいと言った。平和の尊さを教えることは大切だし、県も力を入れている旨を話すと、反省ばかりして何になりますか、今のままではわが子を学校に通わせたくありませんと返した。ごく一部とはいえこのような保護者も現れ出した。教師が平和学習の指導に自信を持てずにいると足をすくわれかねない。

 ところで行政だが、学力向上の研修だけではなく、平和学習に係る研修会を催す等肩入れをすべきではないか。「平和教育の充実」を教員に丸投げでは当事者意識が疑われる。

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