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問われる市教委の文化財保護行政

自己弁護と「ご理解」「ご協力」というまやかし

■教育委員の文化財認識

 石垣市の開発優先施策で教育委員会と市文化財審議会との関係がきしんでいる。

 ことの発端は、旧大浜町の浄水場跡地を文化財審議会が文化財に指定すべきだとした建議書を、去る4月の市教育委員会定例会が不採択と決定したことにある。

 土地所有者の石垣市長が空港アクセス道路を優先して同意しなかったため、市教委は石垣市文化財保護条例第4条第2項の「文化財に指定する場合文化財の所有者、保持者または権限に基づく占有者の同意を得なければならない」ことができないと判断した。

 もっともらしい不採択の言い分だが、文化財を指定し保護する立場にある教育委員の認識や対応は、当初から文化財指定に否定的にみえた。昨年6月の定例会では、髙里正明教育長職務代理が「個人的には文化財指定に値するか疑問が残る。老朽化して使用され無くなったインフラ施設が多数ある。残すべき特別な理由はなにか」と発言。現地視察を決めながら、参加した委員が一人(マスコミの批判で後に委員個人で視察)という関心のなさも露呈した。

 ことし4月定例会では教育委員から、建物が老朽化しているため子どもたちを見学させるには安全上どうか、という理由で否定的な意見が出た。文化財に指定されれば、周辺の安全を確保した上で公開されるはず。これをしないまま公開などあり得ないではないか。

■ご都合主義の弁

  石垣安志教育長は8月7日、建議書について「文化財審議会へ不採択という結果は、建議書で述べた浄水場施設の歴史的遺産としての価値、周辺の自然環境の重要性を記した建議理由や、市文化財審議会に関する規則第2条第3項に規定される任務を否定するものではなく、建議書の内容のうち、文化財指定に関する部分を除いた建議理由に関しては活用していきたい」と文化財審議会に理解を求めた。

 これはご都合主義ではないか。建議書の核心部分を除いて活用などというのは、文化財審議会を愚弄(ぐろう)しているとしか思えない。

 教育委員が建議書の趣旨を生かす努力をした形跡は確認できない。文化財を指定し保護管理するという立場の認識に欠け、文化財保護行政を積極的に推進するという気概も感じられない。土地所有者(石垣市)の不同意に責任を転嫁し、責任逃れをしているように思えてならない。

 石垣市は大型ホテル・ゴルフ場建設、自衛隊基地建設計画など開発予定がめじろ押しだが、市当局に追従するイエスマン委員では文化財行政はお先真っ暗といえる。

■審議会の声、最大限尊重を

 文化財課が調査している最中に、当時の大得英信教育部長が文化財指定に係る事業支障の有無について、連絡先を文化財課長とする意見紹介を県や関係各課に行ったことも疑問である。まだ範囲も報告書も出ていない段階で、教育部長や課長はなぜこのようなことをしたのか。

 県土木事務所所長からは、指定されると多大な支障があると回答があった。この回答を受け、市と教育委員会には文化財課の報告書つぶしに動いた疑いが残る。こうした経緯のもと文化財指定の道が閉ざされたことに、文化財審議会から怒りの声が上がったのは当然だ。

 市は今後、「県と可能な範囲で記録保存などについて協議を進め、当時の文化を後世に伝えていくことが意義深いことだと考える」としている。審議会も、施設や周辺植物の移植など保存について話し合っていくことにしており、市と県は審議会の声を最大限に尊重すべきである。

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