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緑と共にある豊かさ

草木に親しみ生活に潤いを

 ■知人の興味深い「バンナ歩き」

 県の事業の一環である「ぱいぬ島ウォーク」には竹富島に続きバンナ公園でも多くの参加者があったが、筆者の知人は日常的に彼いわく「バンナ歩き」をしている。ウオーキングそのものよりも森に延びる道の両側に繁茂する樹木を目でなぞりながら歩くのは気持ちいいかららしい。植物名の表示はさほどないので植物図鑑で一つ、また一つと覚えた。図鑑で識別できないものは写真に撮り植物に詳しい人に尋ねた。そのかいあって今では遊歩道沿いの草木の名前や性質等をだいたいは覚えた。すると不思議なもので歩を進めていると植物の気配というか、何か向こうから見られているような、そんな気になるという。森の中に知人が増えたような、そんな感覚に近いものかもしれないとも話した。だから歩くのはむしろ楽しいらしい。自然との交感のようなものだろうか。

 ■「命草(ぬちぐさ)」に学ぶ

 今一人の知人は「命草(ぬちぐさ)」がライフワークである。有用植物をそう呼んでいるらしい。筆者には旧来の薬草の概念しか頭にないから、一度どこに行けば「命草」は摘めるのでしょうと聞いたら、あきれたような顔であちこちにある、あなたの屋敷にも月桃があるでしょ、クバがあるでしょ、サシクサもありますと畳みかけられた。むしろある意味そうでないものが少ないくらいかもねとも加えた。勢い数多の植物に向けられる彼女の熱いまなざしを思ったものであった。日頃同好の仲間と植物を観察しに海浜や野山に出かけたり、薬膳料理を作ったり、健康に役立つ軟こうを手がけたり、アダンの根の繊維で小物入れをこしらえたりしていることを後で知った。ここまでくると、なるほど「命草」である。自然に敬意を払いつつ積極的に植物を生活に取り入れようとしている。他人任せではない食、健康、生活スタイルを志向しているのである。植物に寄せる思いの深さ、知識量、植物と共にある豊かさを思った次第である。

 ■大原小の緑の実践

 竹富町立大原小学校の「植物検定」は昭和57年度にスタートしたというから息の長い教育活動である。草花、樹木に親しませることを目的に始めたという。総合的な学習の時間や生活科、理科、体験学習等につないだり、絵に描かせたりしていると聞くが、その上手なつなげ方、生かし方が長く続いているゆえんだろう。植物検定は3年生以上対象で、合格した5~6年児童にはデイゴ賞、3~4年児童にはマツバボタン賞を授けていて、そのことも励みになっているようだ。同校関係者は、この学習の成果として子どもたちは普段から意識的に草花に対している、季節感を味わえている、四季の移ろいに敏感であると話した。「大原小っ子の森」では今、アセロラの実が鈴なりであることも教えてくれたが、その真っ赤な実が鮮やかに目に浮かんだものであった。

 子どもたちのスマホ、ゲームの過度の使用が深刻である。いわば植物・自然・大地とは対極にあるそれである。対極には問題解決のヒントのようなものがある。大いに緑の体験を推奨・推進し、豊かな感性、旺盛な想像力を培っていただきたいものである。

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