「郷土理解へ有用な一冊」 中学副読本 継続求める
- 2017年04月20日
- 地域・教育
在り方や活用でシンポ
石垣市教育委員会が本年度から継続発刊をしない方針を示している中学生向けの副読本「八重山の歴史と文化・自然」に関する一連の問題を考えようと、子どもと教科書を考える八重山地区住民の会(仲山忠亨氏ら共同代表10人)は19日夜、石垣市健康福祉センターでシンポジウム「郷土を学ぶ機会を子どもたちに」を開き、市民約60人が参加した。副読本編集委員会元委員長の田本由美子氏、富野小中学校教諭の上原邦夫氏、保護者代表の波照間忠氏がパネリスト、住民の会事務局長の宮良純一郎氏がコーディネーターを務め、副読本の在り方や活用などについて考えた。
田本氏は発刊までの経緯を振り返り、「八重山の子どもたちに伝えていきたいことが詰まった一冊。継続使用されてこそ意義がある」と強調。
上原氏はことしの初めに市教委が行ったとされるアンケートで、教員100人余のうち88人が副読本を「活用していない」と回答したことを紹介。「教科書以外のことを教える時間がない上に教員一人一人に配られていないため、教材研究ができない」と現状を訴え、活用については「総合的な学習の時間で生かすなど工夫次第でいくらでもできると思う。学校の中で話し合うことが必要だ」と述べた。
大浜中学校3年の息子を持つ波照間氏は「大変素晴らしい本。大浜地域にいても川平や与那国のことが分かる。全体のことを学ぶことで、今後の八重山もよりよくなっていくと思う。継続発刊されることを期待する」と要望した。
参加者からは「副読本を生かしてプログラム化し、退職教員と連携して地域とつなぎ合わせる授業ができないか」などの提言があったほか、「埋もれさせるのではなく、改訂版を何度も出せるようにできないものか」「市議会で取り上げられたから検証もなしに継続発刊をやめるというのはおかしい。子どもたちの手に渡り、実際に使われるようにしていかなければならない」など、継続発刊を求める声が相次いだ。
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