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「テロ等準備罪」は廃案を

市民運動の萎縮が狙い

 ■数多くの懸念や疑問

 犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案(通称テロ等準備罪)が国会審議入りした。数多くの懸念や疑問を抱えている。

 安倍総理は東京五輪を控え「テロ対策は喫緊の課題」とし、対する野党側は「内心の自由を侵し、監視社会をつくるもの」と法案の危険性を指摘し、廃案を訴えている。

 後半国会の最大の争点となる。同時に、異常な安値で国有地を売却した森友学園疑惑、総理夫人の関与疑惑などを焦点から隠す意図も見え隠れする。

 ■「やってない」ことを処罰

 法案は、資金や物品、下見その他の「準備行為」を行うことを要件に、計画段階で罪に問うもの。「まだやっていない」ことが処罰の対象である。

 小泉政権下で3回廃案となった「共謀罪」の趣旨を盛り込み、名称を替えて今国会中の成立を目指す。

 そもそも法案に「テロ対策」の文言は一切なかった。安倍総理が国会答弁で「この法案がなければ東京オリンピック、パラリンピックは開けません」と断言したことから「テロ等を含む組織犯罪を未然に防ぐ」趣旨に変更された背景がある。泥縄式の対応だ。

 最大の問題点は、犯罪行為がないのに共謀・計画段階で処罰するのは刑法の大原則を脅かす違憲立法の可能性が否めないこと。現在でも計画段階を対象とした準備罪や予備罪がある。

 次いで、捜査機関の恣意(しい)的な運用が懸念されること。犯罪行為がなくとも捜査機関が「合意した」と見なせば強制捜査が可能。

 政府は処罰の対象をテロリズム集団や暴力団などの組織的犯罪集団に限定しているとし、「一般人は処罰の対象とならない」と説明しているが、果たしてそうか。

 国民を恒常的に監視することを前提とした法案であり、「誰もが犯罪集団の構成員となり得る」からだ。

 国会審議で野党は答弁の不安定な金子勝年法相を標的に質疑を行う姿勢だが、総理や官僚が前面に出て弁舌を振るうのではないか。

 五輪対策やテロ対策などは詭弁(きべん)にすぎない。議論がかみ合わなければ、国民には余計に理解しづらい。

 地方議会でも三重県、宮崎県議会をはじめ撤回や慎重審議を求める意見書が44件議決されたという。

 ■「反基地」も対象の可能性

 この法が成立した場合、沖縄・八重山も無縁ではいられない。

 例えば、辺野古新基地反対運動。キャンプシュワブ前の闘争も捜査機関の恣意的捜査で同法案の対象となり得る。石垣の陸上自衛隊ミサイル基地反対運動もしかり。

 この法案がなくとも、沖縄では反基地運動のリーダー的存在である平和運動センターの山城博治議長を器物損壊等の微罪で逮捕し、5か月以上も長期拘留した。

 戦前の治安維持法の予防拘禁を思わせる手法を、すでに日本の司法は断行し、政権の意向をくんだ恣意的判断で何でもできている。

 法案の最も大きな狙いは、反基地闘争や憲法改正反対運動あるいは反原発運動のような草の根の市民運動つぶしだろう。

 監視社会と化し、「捜査機関に監視されているかも知れない」という不安感は、明らかに市民運動を萎縮させる。参加者減らしの効果を生む。

 住民投票をめざす署名運動にしても同様。有権者の50分の1を必要とする署名集めについて、署名が反対運動団体の構成員と見られる不安。

 そのような危険な法案は、徹底審議のうえ廃案に追い込むべきだ。

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