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再び「ザル経済」を考える

観光消費額、ことしは900億円を突破か

 ■好調続く八重山経済

 中山石垣市長は本年度の施政方針演説で、「昨年の観光入域が過去最高の124万人に達し、これを背景に雇用は2014年12月以降25カ月連続で有効求人倍率が1倍以上で推移。市税収入も15年度決算で51億3000万円超えの過去最高となり、本市経済は成長を続けております」と胸を張った。

 確かに石垣市は13年の新空港開港以来、観光客が4年連続で好調に増加。昨年は初めて120万人を突破。観光消費額も前年比146億円増の788億6000万円と過去最高になった。ことしは900億円を突破の見通しだ。

 しかしこのように好調を持続する八重山経済だが、果たして一般家庭の皆さんに豊かさの実感はあるだろうか。好調な経済で人手不足が深刻になり、この結果正社員への転換や時給のアップなどで着実に待遇もよくなってきているが、しかし豊かさを実感できるほどではないというのが実情のようだ。

 ■好景気の実感乏しく

 それは沖縄の縮図であるせっかく観光産業で稼いだお金が島外に流出する「ザル経済」に大きな要因がある。

 そこは去る2月に開かれた沖縄公庫フォーラムで講話した価値総合研究所執行役員の山崎清氏も、好調な観光を背景に増加している観光消費額について「半分以上の411億円が島外に流出している。観光消費は地域に大きな収入を生むが、地元で生産や加工したものを消費させなければ地域の所得は上がらない」と“ザル経済”を指摘。

 その上で「地域で所得を循環させる必要がある。石垣市が得意としている農水業とサービス業に食品加工などの2次産業を組み合わせれば生産性や稼ぐ力が高くなる」と提言した。それはいわば6次産業化や「地産地消」「地消地産」の推進だ。

 一方で人手不足についても「低賃金や長時間労働などの厳しい労働環境が背景にある。経済が絶好調でも賃金が安ければそこに人は来ない」と“雇用の質“改善の必要性を指摘した。

 この八重山の「ザル経済」について、去る3月定例石垣市議会一般質問で長山家康氏が現状や課題について質問。中山義隆市長は前向きに課題に取り組む姿勢を示したが、これまで市議や政治家、経済団体の間でなかなか議論にならなかった。これでは、いつまでも八重山の経済的自立は図れないし、島の人々もせっかくの好景気を実感できないだろう。

 ■経済も「質」を求めよ

 経済が好調な今、人手不足対策の面からも正社員化や賃上げなど待遇改善で雇用の「質」改善が求められているが、経済も観光客をしっかり受け入れる地元起業家を積極的に育成し、「ザル経済」の克服などせっかく観光産業で稼いだ金を地元で循環させる「質」の改善が求められる。これが雇用の質改善と景気の好循環になり、それがまた全国一深刻な子どもの貧困など沖縄の貧困解消につながる。

 沖縄では好調な観光を背景に新しい商業施設やホテル、飲食店などが次々開業しているが、中山市長にすればそれが外資や本土資本に関係なく、町がにぎわえば経済優先で何でも際限なく良しなのだろうか。本土から進出したある企業経営者が言う沖縄の最大の魅力は「賃金が安く抑えられる」ことのようだが、正直そういう企業は石垣には来てほしくない。

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