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これでいいのか文化財行政

近代化遺産に値する旧大浜浄水場跡

■奇妙な流れ

  文化財保護に積極的でなければならないはずの石垣市教育委員会がなぜか、文化財審議会が建議書で求めた旧大浜町浄水場跡地の文化財指定・保存活用について消極的である。

 委員会が16日、文化財課が指定範囲を調査している段階で、県と関係課に業務への支障があるかないかの意見を求める照会を行ったというから驚きだ。

 県がアクセス道路に影響するというのは当然ではないか。

 市はことし1月の公有財産検討委員会で、アクセス道路にかかる市有地(普通財産)については、担当課と調整した後に売り払うという取り扱い方針を一括して承認している。

 しかし、浄水場跡がある市有地は広大。面積5000平方㍍、買収金額2000万円以上になる可能性が高く、その場合は議会の承認が必要となり、より慎重な対応が求められてくる。

 なのに指定予定範囲も確定せず、調査も終了していない段階で、県や関係課へ照会した。

 22日までに回答を求めていることにも不自然さを感じる。

 うがった見方をすれば、25日の教育委員会定例会で、文化財指定よりもアクセス道路の早期開設に影響を及ぼすという県の立場に寄り添う姿勢を明確にするのではとさえ思える。

 文化財保護法によれば文化財は「貴重な国民的財産であり」「公共のため大切に保存し」「文化財的活用」にも努めなければならないとしている。

 地方教育行政の組織及び運営に関する法律は、「文化財の保護に関すること」(第21条第14項)、「文化に関すること」(第23条第2項)について、教育委員会及び地方公共団体の長が教育に関する事務のいずれか又は全てを管理し、執行することができると規定している。

 もちろん、浄水場跡地は現在、文化財に指定されているわけではない。しかし、文化財の専門家たちが建議書を出しているから文化財指定の価値があろう。

 ■調査に水差す発言

  これに対し、教育委員会第6回定例会議で髙里正明教育長職務代理が「個人的には、文化財に値するかどうか疑問がある。要するに老朽化して使われなくなったインフラは多数ある。それを残すべき特別な理由は何なのかと感じている」と発言した。

 文化財に対する知識や理解に疑問を持たざるを得ない。教育長代理が個人的と断りながらも県の立場を支持するともとれる発言ではないか。教育委員が現地視察に1人しか参加していないというのも無理からぬことだ。

 ■指定に向け奮起を

  文化庁は幕末から第2次世界大戦期までの日本の近代化に貢献した産業・交通・土木にかかる建造物を近代化遺産として重要文化財に指定している。また50年を経過した歴史的建造物のなかから、一定の評価を得たものを「登録文化財」として保存を図っている。

 八重山では戦争や自然災害、開発で古い施設はほとんどなくなった。それだけに、旧大浜町の生活様式を一変した水道施設は戦後建設されたとはいえ近代遺産や登録文化財に値するといえる。

 教育委員会が文化財保護の観点から文化財指定に向け積極的に行動するのは当然。新教育長を補佐する教育部長と文化財課課長の奮起を促したい。

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