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「人口減少時代」への備え

石垣市総合戦略は取捨選択を

■縮小社会、社会制度の懸念

 2015年国勢調査が確定した。1920年の調査開始以来、初めて減少に転じ、前回を96万3000人下回った。社会が縮小する「人口減少時代」いよいよ現実である。

 向こう15年で人口は1000万人減るとみられ、鳥取県が毎年一つずつ消える勢いの減少となる。年金や健康保険など、人口増を前提とした社会制度を根幹から見直さざるを得ない深刻な状況である。国内市場も経済も縮小が進んでいく。

 総人口に占める65歳以上の割合は26.6%と過去最高で、人口の4人に1人を超えた。15歳未満は過去最低の12・6%、少子高齢化はますます顕著である。また、首都圏4都県で人口の28・4%を占め、東京圏への一極集中が鮮明になった。

 沖縄県の人口は143万4000人。前回に比べ4万1000人、2・9%増えた。増加率は全国一。県人口に占める65歳以上の割合は、19・6%と全国一低く、15歳未満割合は17・4%と最も高い。全国とは逆の傾向を示している。

■精査して総花を見直せ

 全国で人口減少の結果、「地域消滅」する自治体が続出すると警鐘が鳴らされてから一斉に始まったのが「地方創成総合戦略」で、国では2060年に1億人を確保する内容だ。

 沖縄県も2025年をピークに減少に転ずるとみられる。このことから県では全国に先駆け、2035年に150万人、2050年に160万人を目標とする人口増加計画をまとめている。

 石垣市でも同じく10年後に漸減傾向になることから、高い希望出生率と社会増維持により人口増を期待している。簡単に言えば、子育て支援と移住者対策である。

 石垣市総合戦略では、四つの基本目標のもと22の施策を計画しているが、「総花」傾向は否めない。

 待機児童解消のため、子育て支援人材育成事業で保育士養成への教育機関が設置されることは評価できる。

 一方で、戦略と真逆の施策も選択している。園児5人未満の幼稚園閉鎖である。認定こども園促進のために、北西部地域の定住条件を阻害していく矛盾。地域の大小をてんびんにかけるからこうなる。小を大の犠牲にしてはならない。

 また、わずか数人の移住者確保のため、民放で人気のお見合い番組収録にこだわり公金を投入するのは、単なる石垣島発信の目立ちたがりではないか。怒る地元女性も多く、見直すべきだろう。

 いま一度、なぜ22施策か、精査してほしい。名水プロジェクトやシャークハントなど無理やりこじつけたとしか思えない事業も多い。取捨選択すべきである。

■ゆるやかな人口減少に耐えて

 そもそも首都圏ですら2020年東京オリンピック以降、人口減に陥る。沖縄・八重山だけ、あるいはどこか特定の地域だけが人口増加を続けることはあり得ない。

 ならば、ゆるやかな人口減少にとどめるための施策や、社会縮小も覚悟のうえで現在の活力を維持していくための施策展開はなかったか。

 子育て支援は急務である。現に就労していない女性の、子供の保育所入所申し込みを門前払いしているようでは、女性は働きたくても働けない。速やかに改善すべきだ。

 移住者対策にしても、地域と関わらず自分たちだけのコミュニティーに安住する人たちや、地元との間のあつれきを私たちは経験している。

 人口増だけが地域おこしではない。ゆるやかな減少傾向にあっても、子どもたちの笑顔を大切にする社会、ともに地域のために汗を流す人材があってこその地域振興である。

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