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「やんばる国立公園」指定を喜ぶ

米軍北部訓練場は全面返還を

■西表の世界遺産登録へ弾み

 国頭、大宜味、東の3村にまたがる「やんばる国立公園」が指定された。県内では西表石垣、慶良間諸島に次ぎ、3番目、全国では33番目の指定である。沖縄の豊かな自然環境を保全・活用するものであり喜ばしい。

 公園の規模は、陸海域約1万7300㌶。国内最大級の亜熱帯照葉樹林は、雨がつくる湿潤な環境に恵まれ、国の特別天然記念物のノグチゲラやヤンバルクイナをはじめ貴重な固有種が息づいている。

 環境省は世界自然遺産「奄美・琉球」(奄美大島と徳之島、やんばると西表島)の2018年登録を目指している。ユネスコは対象地域の法規制による自然保護の強化を求めていることから、3月には全域が国立公園となった西表島に続き、やんばる地域も指定されることで、遺産登録へ弾みがつく。

■隣接する訓練場の懸念

 やんばる国立公園の東側には、約7万8330㌶の米軍北部訓練場(ジャングル戦闘訓練センター)が隣接、訓練場内にはヘリパッドが24カ所配置されている。その訓練場内にも特別保護地区が飛び地状に点在している。

 もとより動植物は人間が定める敷地境界を意識することなく行き来する。現状のままでは、最も法規制の厳しい特別保護地区や第1種保護地区上空もオスプレイが飛行する可能性が懸念される。その際の低周波音、高熱の下降気流、爆風などが動植物にどのような影響を及ぼすのか。

 一方でSACO合意は、主としてオスプレイの利用を想定した専用ヘリパッドを東村高江集落周辺に集中配置、新たに整備することによって、基地機能の強化を図ることを狙いとしている。

 そのうえで使い勝手の悪いヘリパッドを含む約4千㌶余の返還を高江整備の交換条件としている。返還により米軍占用面積「74.4%」を縮小し「沖縄の基地負担軽減」をアピールすることが政治的な大きな狙いである。

 だが、立ち止まって考えよう。辺野古も高江も、新たな基地建設の費用は誰が負担するか。日本国民の血税であり、思いやり予算(在日米軍駐留経費負担特別協定)が充てられる。建設されれば百年後まで使用できる米軍基地である。

■高江の森も、大浦湾も

 悩ましいことである。国立公園指定は喜ばしく世界自然遺産への大きな前進であるが、約6倍もの面積の訓練場が隣接する。自然破壊と生態系保全が同時に進む矛盾。

 高江の森もやんばるの森の一部であり、同様に固有種も絶滅危惧種も生息する保全すべき地区である。見せかけの「基地負担軽減」よりも、多様性育む命の森は優先して保全されるべきだ。

 海域にしても、辺野古に連なる大浦湾は、わが国唯一の希少な海生哺乳類ジュゴンの最も重要な生息地である。新基地建設に伴う海上調査等の混乱で海草の「食み跡」が確認できなくなっているという。

 白保と並ぶ世界屈指のアオサンゴ群集保全も気がかりだ。この海域は今回の国立公園に含まれていないが保全されるべきである。

 国立公園の陸域は、山の脊梁部に沿うだけに東西に狭く南北に長い。やんばるの貴重な動植物を保全していくためには、米軍北部訓練場を無条件全面返還させ、大浦湾海域を含めた世界遺産登録をめざすべきだ。それも、できるだけ早く。

 
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