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【新年特集】長命草に次ぐ特産品〝クシティ〟

緑のじゅうたんのようになったクシティ畑で摘み取り作業を行う米浜玉江さん=2015年12月16日、与那国空港南方

緑のじゅうたんのようになったクシティ畑で摘み取り作業を行う米浜玉江さん=2015年12月16日、与那国空港南方

クシティは子どもたちにも人気。「葉っぱのところが大好き」という左から田島朝尚(5)と大志ちゃん(2)=2015年12月16日夕、祖納の田島政之さん宅

振興策も検討、島外から引き合いも

 昨年12月16日午前、与那国空港レストラン旅果報の入り口まで来ると、香草の香りが漂ってきた。香りの主はセリ科のクシティ(コリアンダー)。今期は、例年より遅く12月上旬から収穫が始まったばかり。店内では、レストランを経営する米浜玉江さん(67)らがこの日の朝、収穫したクシティを新聞紙の上に広げ、雑草を取って袋詰め作業を行っている最中だった。

■癖になる独特の風味

 「冬と言えばクシティ。クシティが出ると、冬が来たなーと感じる」と米浜さん。クシティの香りは冬の訪れを告げる風物詩、11月ごろから3月ごろにかけて食卓に上る。

 独特の風味があるため、好き嫌いがはっきり分かれる。嫌いな人は「カメムシのような風味がする」と苦虫をかみつぶしたように言う。

 それほど強烈だが、島産のクシティは、他地域で生産されるものより香りも味も強い。周囲を海に囲まれた断崖絶壁の孤島で潮風にさらされているためともいわれるが、定かではない。

 料理は、ツナを加えてあえ物にするのが基本。味付けはしょうゆと酢、あるいはドレッシング。実際に食べてみた。ツナの味とクシティの香りのバランスが絶妙。一口食べて好きになった。飲食店でお代わりをお願いしたところ、隣の男性から「俺は嫌いだけど、これは麻薬みたいなものだよ」と笑われた。

■勝負できる作物

 コリアンダーは地中海東部が原産で、エスニック料理には欠かせない食材。日本でも近年のエスニックブームで身近になったが、与那国島には戦前からある。出稼ぎなどで台湾に渡った人たちが持ち帰ってきたといわれ、それが島野菜として定着していった。

 栽培方法は種をまき、雑草を取り除くくらい。虫を寄せ付けないので防除剤もいらない。無農薬で栽培できるのが特徴だ。JAおきなわ八重山地区本部与那国支店野菜生産部会(本田哲也部会長)によると、兼業農家を含め3、4人が生産、出荷している。30㌃くらいではないかという。

 「島外にもっと出していきたいが、島内需要が半端じゃない」(本田部会長)というほど人気。「島の味」として島外に出る際にお土産として購入していく町民も多いという。

 町産業振興課主任主査の田島政之さん(43)は、長命草に次ぐ特産品と位置付けている。島外から引き合いもあり、東京のパクチー専門店で今年1月中旬から1カ月間、クシティなど与那国の特産品を展示販売する「クシティ祭り」が開催されることになっている。

 田島さんは「県内では糸満で与那国島から持ち出した種で栽培しているが、与那国産の匂いと味は出せない。種を持ち出されても同じものにならないので特産品として勝負できる作物、長命草と同じように適地適作の作物」と自信満々だ。「集落内の空き地などを利用して町民に栽培してもらうことも考えている」と話し、具体的な振興策を検討することにしている。

  • タグ: 与那国島クシティ
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