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揺れる国民の知る権利

第66回新聞週間に思う

■問題多い秘密保護法案

 きょうから第66回新聞週間がスタートする。国内情勢はこじれた韓国や中国との外交、一触即発の尖閣問題、いまだ抑止できない福島原発の汚染水流出など、難題が山積している。

 その中で、政府の「特定秘密の保護に関する法律案」(秘密保護法)の国会提出準備が、着々と進められていることに強い懸念が生じている。

 同法は外交や防衛などに関わる秘密を漏えいした公務員らの罰則を強化して、国を守ろうというものだ。法案のきっかけは、2010年に石垣市の行政管轄・尖閣諸島の沖合で起きた巡視船と中国漁船の衝突映像のインターネット流出事件とされる。

 元海上保安官がネットに流出させたのが法制定の理由らしい。しかしこの問題は国内法に基づき、逮捕した中国船長を粛々と処理すべき事件だ。

 それを内部情報が漏れたからといって、新法で情報流出源を徹底的に追及し、罰しようという行為は空恐ろしいものがある。

 秘密事項が抽象的なあいまい表現では、国に都合の悪いものはすべて闇に葬られかねないのである。

 

■あいまいな特定秘密

 国民が関心の高い消費税3%引き上げの陰で、秘密保護法はややもすると身近な問題と思われにくいかもしれない。

 しかし同法が制定すれば国民の関心の高い福島原発をはじめとする原子力政策、防衛、TPPなど、あらゆる問題が政府の都合で「特定秘密」にされる可能性があるのだ。

 秘密保護法の法案概要は「防衛」「外交」「安全脅威活動の防止」「テロ活動防止」の4分野のうち、国の安全保障に著しい支障を与える恐れがあり、秘匿の必要性が特に高い情報を行政機関の長が「特定秘密」に指定するとしている。

 だが、何が特定秘密に当たるかをチェックする仕組みがないうえ、不都合な情報を恣意(しい)的に指定したり、国民に必要な情報まで秘匿したりする手段に使われる疑念は依然として残っている。

 何を「秘密」とするかは行政側の裁量で決められ、処罰対象も公務員だけでなく、「秘密」を取得した民間人も範囲となり、情報公開に逆行、国民の「知る権利」を侵害する恐れがある。

 

■沖縄は秘密だらけ

 「秘密」に関し、沖縄に住む私たちは日米安全保障に伴い、さまざまな問題を経験してきた。

 1971年の沖縄返還協定をめぐって、取材上知り得た機密情報を国会議員に漏らしたとして、当時の毎日新聞社政治部記者・西山太吉氏らが国家公務員法違反で有罪となった沖縄密約事件があり、またオウム真理教のテロ事件で、多くの国民に知られた化学兵器のサリンが、沖縄に保管されていたことも明らかになった。

 いまなお沖縄の米軍情報は機密扱いが大半で、一方的に通知されることが通常化している。県内マスコミが情報公開を訴え続けているのも、周知の通りだ。

 このような状況下では、仮に普天間基地などが防衛上の特定秘密とされるとどうだろう。公務員は罰則を恐れて口をつぐみ、重大な問題が生じていても内部告発は得られない。取材は困難を極め、重要な情報を入手した記者が逮捕される可能性も否定できない。

 この秘密保護法をめぐって日本新聞協会や日本弁護士会は「民主主義の根幹である国民の知る権利が損なわれる恐れがある」と反対を表明している。

 自公政権が圧倒的な数を得たいま、法案採決は容易だ。それだけに懸念の声をあげなければならない。

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