結いの取り組み期待 公民館活用へ、自主的防災にどう生かすか
- 2013年10月05日
- 土曜リポート
地震、津波、台風、火災など災害時に避難誘導などの支援を希望する1人暮らしのお年寄りや障がい者らの名簿ができた。石垣市が民生委員の協力を得て「災害時要援護者」として名簿を作成したもので、個人情報の管理徹底を義務づけた協定を結んだ16自治公民館に9月30日、提供した。計627人分のリスト。各公民館が今後、自主的な防災にどう生かしていくか注目される。(比嘉盛友、渡嘉敷信晃記者)
■最小単位で動く
市から名簿の提供を受けた翌1日夜、石垣字会の自主防災組織設立準備委員会(池城孝会長)は公民館で会議を開き、池城会長が報告した。名簿には84人分の住所、氏名、年齢、状態、地図などが記載されている。
「字独自で要援護者リスト作成に取り組んでみたが、厳しかった」という池城会長は、この名簿を最大限活用する考えを示した。
まず、名簿に記載された84人を実際に確認する作業に入らなければならない。その際、四つある町内会を細分化した班単位で要援護者を把握する。
池城会長は「課題は、班単位で誰が誰を支援するかだ。これを決めないと災害時に機能しないだろう。班組織で対応できるようにしたい」と話す。要援護者宅を中心に近隣住民がサポートする体制の構築を目指し、来年4月24日の市民防災訓練で実際に要援護者を避難誘導してみる考えだ。
大川字会(慶田城用武会長)も防災組織の11月設立に向け準備中だ。名簿によると、大川地区の要援護者は45人。
慶田城会長は「五つの町内会、婦人会、青年会、老人会で情報を共有し、町内会ごとの体制をつくっていきたい」と話し、名簿の活用策について近く役員会で話し合うことにしている。
■結いで共助を
要援護者名簿の提供を希望した16公民館を、石垣市の知念修福祉部長は「意識が高く、積極的な姿勢がうれしい」と頼もしく思っている。今後は他の公民館にも呼びかけ、災害弱者の支援体制を拡充していく方針だ。
要援護者情報については災害時要援護者登録制度に基づいて随時申請を受け付けており、公民館に提供する情報も毎年更新する。
阪神淡路大震災では、家屋の倒壊などで閉じ込められた人たちのうち、消防など公的機関が助け出したのはわずか2%。ほとんどが自力か近隣住民の救出だった。
知念部長は「普段から周辺に要援護者がいることを知っておくことが重要で、行政としても公民館と連携する。要援護者支援は昔からある結いマールが根本にある。名簿提供を機に地域の絆がもっと深まれば」と共助の取り組みに期待する。
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