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危機意識を持って対策を

美しい環境を脅かす外来生物

■効果ない? 駆除事業  沖縄はわが国で唯一の亜熱帯地域であり、自然環境によって長い時間をかけて育まれた多彩で個性豊かな生態系を有している。ところが近年、この地域で生存するはずのない動植物が増えて、固有の生態系を破壊しつつあることは、何とも憂慮すべきことである。この件については以前にも取り上げたが、事態はさらに深刻化し、行政、民間を含めてより効果的な対策を早急に講ずる必要がある。  環境省は、2004年に「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」(外来生物法)を制定して、本来の生態系を破壊するような特定外来生物などの侵入に備えているが、必ずしも大きな効果を上げているとは言いがたいのが現状である。  生態系に危機をもたらしている典型的な特定外来生物の事例として、本島や奄美大島などのマングースの移入は深刻な問題である。コブラなどの天敵として知られていたため、ハブ駆除目的で1910年にインドネシアから本島と渡名喜島に持ち込まれたとされるマングースは、夜行性のハブを襲うことがほとんどなく、在来種の昆虫やトカゲ、野鳥などを食べる。  ノグチゲラやヤンバルクイナなど国指定の天然記念物であり絶滅危惧種に指定されている貴重な鳥類にまで累を及ぼし、駆除事業も行われているが、大きな効果は出ていない。  川魚の代表格であったメダカは、近年ほとんど目にすることがなくなった。昔から、かき揚げの材料としてどこの家庭でもごく普通に食卓に乗るほど豊富に生息していたメダカは、ほとんど姿を消した。タニシも目にすることが少なく、ジャンボタニシに取って代わられている始末である。  開発や農薬による汚染が大きな原因であるが、メダカは、外来種のグッピーやカダヤシに駆逐され激減している、という。有毒な上に繁殖力の旺盛なオオヒキガエルも早急な駆除が望まれる。  八重山では、小浜島のリゾート施設で飼われていたクジャクが逃げて野生化し、野菜の新芽やチョウ類、キシノウエトカゲなど何でも食べる貪欲さで私たちの日常生活にも大きな負荷をかけているし、これまで見たこともなかったグリーンイグアナやキジまで野生化している。 ■全てが害ではない  しかしながら、外から入ってきた動植物全てが危険なわけではない。今日の食卓をにぎわしている野菜や果物もその多くは外来種であり、一概に否定的にとらえる必要はない。八重山の香りとしておなじみのピィパーズも、時代背景ははっきりしていないが東南アジアあたりから移入されたものであるし、マグネシウムやカロテンを豊富に含む健康野菜として注目されている雲南百薬もほとんど野生化している。  今日のように交通通信が著しく発達し、国内だけでなく、海外とも容易に交流が可能で、いわゆる狭い地球化した世界においては、外来生物の移入はある意味で不可避であるかもしれない。 ■きめ細かな対策必要  外来生物は、もともと私たちの地域では存在しなかったのに、人間の活動によって移入されたものである。私たちが心すべきは、安易な外来生物の持ち込みをしないこと、大きくなりすぎたペットを安易に捨てたり逃したりしないよう十分な管理をすることなど、真剣な取り組みによって、可能な限り自然界のバランスを崩さないようにすることだ。  また、私たち個人が地域本来の生態系に対する意識を高めるとともに、国、県、市町など行政機関においては、危機意識を持って、よりきめ細かで具体的な施策事業に取り組むことを期待したい。そのことによって、長い時間をかけて育まれてきた亜熱帯の豊かで美しい自然界を守り、後世に引き継いでいけるのである。

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