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サンゴ再生に光明

西海区水産研が大きな成果
■かけがえのない八重山の財産  サンゴ礁再生に一筋の光が見えた。西海区水産研究所亜熱帯研究センターが、人工増殖の生存率を大幅に引き上げたというのだ。四面を海に囲まれた八重山で、サンゴ礁はかけがえのない財産である。  古くから人々の暮らしを育み、漁業やダイビングなどの観光産業を発展させてきた。美しいサンゴがなければ、この島々はどれだけ関心を集めたのだろうか。  ところが、各島のサンゴ礁は海水温上昇で白化現象が進み、それにオニヒトデ食害で深刻な状況にある。本土復帰前のサンゴ礁を知る人にとって、その衰退ぶりは驚くほどだ。  豊かなサンゴ礁は豊富な魚介類を集める。かつて市内新川の沖合では、カツオ漁も行われた。それがサンゴの減少や乱獲、土地改良、埋め立てなどの開発などが影響し、漁業者は遠くへ出漁しないと生活が成り立たなくなっている。  その中でサンゴ増殖技術の進展は、次代に大きな希望をつなげた。さらに研究を重ねることで、精度を高めてほしい。 ■世界トップの生存率  今回の成果は西海区水産研と、国内大手グレーチングメーカーの(株)ダイクレの共同研究がもたらした。  国内外のサンゴ増殖研究は、水槽などの実験棟では生存率も高い。ところが自然環境で実際にサンゴを増やそうとすると、うまくいかない。  半年ほど経過すると、生存率は1%以下になり、実用化にはほど遠い状況にあった。  しかし、稚サンゴが生き残りやすい増殖用基盤の開発、着生させる幼生の密度、設置手法、間隔など工夫することで1年3カ月を経てもサンゴの生存率は平均18・1%まで高まったという。  増殖したサンゴが10%以上生きている例は世界中でもない。水産研は「この技術により、岩盤の乏しい砂地やガレ場のような海底でも手間をかけずにサンゴ群集を修復・造成することが可能」としており、今月下旬に行われるサンゴ礁学会で内外の大きな注目を集めそうだ。 ■八重山をモデル地区に  だが今回の成果も、完全実用化の技術確立まで、まだまだ研究を重ねなければならない。増殖生存率をどれだけ引き上げるのか、大きな課題が立ちはだかるだろう。  サンゴ礁の消滅は、海中とあって、多くの人々の目にとまりにくい。ところが、世界中に広がる森林伐採のように静かに進行している。  その再生技術の確立は急務の課題であり、今後、八重山のサンゴ礁をモデル地区として、徹底的に修復することを望みたい。それは世界に向けての大きなアピールにもなろう。  近年は環境保全への意識が高まり、国もさまざまな事業を手がけるようになっている。しかしサンゴの価値は従来のままだ。  八重山ではひところ、石垣港を経由しての台湾|中国貿易船の座礁事故がひん発した。貴重な財産のサンゴ礁が大きく傷つけられても、岩礁扱いで損害を請求できない。  近年は、自治体の面積にサンゴ礁を含めるよう要望する動きもある。サンゴ礁の価値を訴える時期にきているといえ、法的整備を含めて声をあげたい。

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