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神歌、儀礼歌など収録

沖縄古謡保存・研究へ大きな一歩
■古謡は沖縄文化の源泉  公益財団法人沖縄県文化振興会が実施している「沖縄古謡保存記録事業」は、県内各地で古くから歌われている神歌、儀礼歌、労働歌、遊戯・雑歌謡、わらべうたなどを現地録音して、生活に根ざして歌い継がれてきた貴重な古謡を正しく保存継承し、次の世代へ引き継ぐことを目的として2006年から進められている。  この事業は、私たちの先達が創造し残してくれた貴重な歌の数々を後世に正しく伝えることを目的として、県内を八重山、宮古、本島南部、本島中部、本島北部の五地域に分け、各地に伝えられてきた古謡を収録する、という趣旨内容で「沖縄古謡保存記録専門委員会」(波照間永吉委員長)を設置し、専門家の意見を取り入れながら進めてきたようである。  事業計画によると、06年から10年の5年間での完成を目標にしていたが、08年7月に「沖縄の古謡―八重山諸島編―上巻」が発刊されて以来、各地における収録作業は進められているものの、一向に成果が見えず高い関心のある県民はじめ研究者等関係者をやきもきさせていた。  しかし、このほど、「沖縄の古謡~八重山諸島編~中巻」「沖縄の古謡~八重山諸島編~下巻」に加え、「宮古諸島編上・下巻」、「沖縄諸島編上巻(南部)」が立て続けに発行され、本島中部、本島北部も鋭意編集中とのことである。全巻が完成すると沖縄古謡の世界がほぼ把握できることと思われ、一日も早い全巻の完成に胸躍るような期待が持てるし、沖縄各地の古い言葉や音楽など沖縄文化の源泉が古謡であることが理解できるであろう。 ■八重山歌の素晴らしさ  八重山の先人は、過酷な人頭税、襲来する台風、干ばつや明和大津波のような大災害に堪え、それを乗り越えながらユンタ、ジラバ、アヨウなど心の底からわき出る即興的な歌や言葉によって、日々の悩み、苦しみ、喜びを表現し、優れた文化遺産として今日に残してくれた。これら古謡群によって、先人の偉大な足跡をたどることができる。  今回、収録されている八重山古謡は石垣市新川、石垣、大川、登野城、平得、大浜、宮良、川平、西表島干立、祖納、船浮、古見、波照間島、新城島上地・下地、竹富島、黒島、小浜島、鳩間島、与那国島とほぼ八重山全域にわたっている。これら19地域で収録された古謡131曲がCD9枚に収められ、それぞれに懇切な対訳と解説が施されている。  八重山は、優れた音楽文化の島として知られていて、歌三線が生活の中に自然と溶け込んでいる。三線で奏でられる「鷲ぬ鳥節」「安里屋節」などのいわゆる節歌は、ほとんどが古謡に源を持つと言われており、今日でも私たちの日々の暮らしに潤いを与えている。 例えば、黒島の「正月ユンタ」の一節を引用しよう。 きゅうがぴーば むとぅばし(今日の日を元にして) くがにぴーば むとぅばし(黄金の日を元にして) くとぅしゆーばにがよーら(今年世を祈願しましょう) くなちゆーばにがよーら(来る夏の世を祈願しましょう) くとぅしゆーぬ でぃきらば(今年の世が出来たら豊作になると) くなちゆーぬ なうらば(来る夏の世が稔ったら) ■誰でも入手可能  各地で歌い継がれている古謡が文字として、音として収録されていることは、今後の保存継承にとってきわめて意義深いし、学術的な価値も大きい。しかも、有償で販売されているため、誰にでも入手が可能である。  県内各地にはもっと知られていない古謡が少なくないはずだし、第2期、第3期の古謡保存記録事業を期待したい。また、県内各市町村が取り組んでいる古謡大会などに加えて、よりきめ細かで地域に根ざした古謡保存事業をそれぞれの市町村で意欲的に取り組んでいくことを大いに期待したい。

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