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医療崩壊を考える

八重山の医療を守る運動を進めよう
■内科医8人が同時に退職  離島住民の生命を守る基幹病院である県立八重山病院は本年3月末、内科医9人のうち8人が同時に退職する異常事態を受けて、石垣市長らは年末に県病院事業局を訪ね医師確保を要請した。  また琉球大学や中部病院、南部病院にも医師派遣を要請したが、担当者は「できるだけ協力していく」とした上で、医師確保のためには地域や県でお互いに知恵を出し合い、過重労働が慢性化している勤務体制、待遇改善などの課題を克服する必要があると理解を求められたという。  平成16年から始まった新しい臨床研修医制度の導入は、大学の医局が果たしてきた医師の供給機能を低下させ、特定の診療科目や地域の医師不足を顕在化させて、結果的に医療の都市集中を招き、各地で医師不足問題が深刻化している。  10万人あたりの医師数は昭和47年(本土復帰時点)に全国平均110人に対し沖縄県は39人で大幅に立ち遅れていたが、国の無医地区医師派遣費補助事業などにより、平成18年には全国平均206人に対し208人で、ほぼ全国並みに改善された。  県内を地域別にみると那覇・南部地区の医師数が246人で全国平均より19%高く、宮古は161人で全国平均の78%、八重山は146人で全国平均の70%となっていて八重山の医療が危機的状況であることを示している。 ■過酷な就労環境  医師不足問題は今に始まったことではないが、八重山病院は琉球大学医局からのローテーションと県立病院研修修了者で占められ、派遣は1年単位または数カ月単位の異動のため、39人の医師中、長期勤務者は5人、八重山出身医師はわずか1人となっている。  近年女性医師の増加に加え、産婦人科、外科系医師、リスクを伴う診療科の医師不足が深刻化している。  さらに八重山は多くの離島を抱えるため離島代診、ヘリコプター患者搬送受け入れ、石垣市夜間診療所の廃止により救急ではないのにコンビニ感覚で訪れる夜間外来者の増加など当直医の負担が重く、医師の就労環境は劣悪となっている。コンビニ受診は医師を疲弊させ本当に高度な医療が必要な人が受けられなく恐れがある。  慢性的な人手不足で休暇が取りにくく、離島のため費用負担が重く、研修や学会への出席も困難となっている。これでは離島医療に大きな志を抱いて着任した医師たちも派遣期間が終了するとともにさっさと都市の病院に戻りたくなるのが当然の結果だろう。 ■兵庫県立柏原病院の例に学べ  平成19年、兵庫県立柏原病院(丹波市・篠山市、医療圏人口11万人)では小児科医師7人中6人が退職し、残る1人も負担増に耐えられないと退職の意向を示したことにより、地域のお母さんたちが「県立柏原病院の小児科を守る会」を結成して立ち上がり、「行政に頼むだけでは問題は解決しない、私たち自身が行動し、お医者さんが働きやすい地域をつくるしかない、今いるお医者さんを大切にしよう」という方向性を確認し、(1)コンビニ受診を控えよう(2)かかりつけ医をもとう(3)お医者さんに感謝しようをスローガンに守る会運動を展開し、今では患者数は減少したが医療の高度化で病院の収益が改善、医師は5人まで回復し、「守る会」活動は全国から注目されている。  医師不足が慢性化する八重山にとってこの市民運動は大きな参考になる。地域医療確保は行政の責務であることに間違いはないが、医療従事者にとって働きがいのある良い環境・良い雰囲気は必要で医師の定着化につながっていく。地域住民にとっても高度で持続性のある医療確保は最も重要なことである。県立柏原病院の例に学び、住民自ら行動を起こすことが求められている。

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