Category: 不連続線
与那国町久部良の故・糸数繁さんの暮らしを描いた映画「老人と海」が、20年ぶりディレクターズ・カット版として全国上映されている▼サバニを操り、カジキを追い続ける当時82歳の糸数さんの姿を撮った作品で、文豪アーネスト・ヘミングウエーの名作「老人と海」と酷似したドキュメント映画▼糸数さんは東京封切りを前に、漁に出たまま帰らぬ人となった。愛船だけ発見され、カジキと格闘中に、海に引きずり込まれたと見られている。実に衝撃的で壮絶なな死だった▼映画はプロデューサーが本島でタクシーに乗ったとき、与那国出身の運転手との会話がヒントになったという。ジャン・ユンカーマン監督(米国)のもとで撮影をスタートしたが、糸数さんはその1年間、カジキを揚げることができなかった▼漁に出ては釣れずに帰る日々を繰り返し、これも小説「老人と海」通り。翌年、170キロ級のカジキを釣ったが、制作には実に5年間を要したといわれる。まさに糸数さんと撮影スタッフの根気強さが表れている▼「正直に生きる、シンプルに生きる」のキャッチフレーズで「老人と海」は10月中旬まで全国各地の劇場で上映される。与那国町の文化、生活を真正面からとらえた数少ない映画でもあり、大きな反響を期待したい。(黒島安隆)
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