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夏もたけなわという合図のように福木の実が…

 夏もたけなわという合図のように福木の実がこぼれ散る。強い雨の後などはさらにその数を増し道路にまで転がり出す。私は毎朝それを拾っているがビニール袋にずっしりと来る重さだ▼福木が黄色の染料だと聞いた時、すぐその実のピカピカする黄を連想したが、実際は福木の幹の皮にその染料の基となる化学物質が入っているとのこと、したがって染料を取るためには福木を切り倒さなければならない▼福木から取った染料で布を染めると目も覚めるような黄金色だ。それは一本の福木のいのちの輝きとも言えるだろう。しかし木はその色のため犠牲にならなければならなかったのだ▼毎朝こぼれ落ちている実を拾いながら、この色を利用する方法はないのかとつい思ってしまう▼以前は福木は防風のため、そして家を建てかえる際の建築材として屋敷の周囲に必ず植えていたが、近年コンクリート建築が普及し大風の心配がなくなり面積をとる屋敷林は姿を消してしまった。建築そのものは大きくなり頑丈となったが、なんだか街全体に風情(ふぜい)がなくなってしまったような気がする▼喜舎場永珣先生著『八重山民謡誌』の「まえがき」の末尾には“福木の実がこぼれ散る寓居にて”と記されている。私はこの一句がたまらなく好きなのである。(八重洋一郎)

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