Category: 社説
高い離島航空運賃は「現代の人頭税」
■航空が唯一の交通手段となった不便な島
沖縄本島・本土へ渡るには従来は海路と空路の選択肢があったが、平成20年6月、国が所管する鉄道運輸施設・整備支援機構の事実上の支援打ち切りで「有村産業」が290億円の負債を抱えて倒産し、以来「海路の旅」は閉ざされてしまった。対抗する「琉球海運」は経営を貨物輸送に特化し、住民の足は空路しか残されておらず、唯一の交通手段となっていて大きな不便を囲っている。
さらに同年11月に政府は景気浮揚策として高速道路週末1000円を打ち出し、本土の高速道路周辺エリアは一部活況との報道もあるが、反面、八重山諸島をはじめとする離島観光に大きな打撃を与えていることが指摘されている。JRなどの鉄道、高速道路の恩恵を受けない離島住民にとって航空機は決して贅沢(ぜいたく)な乗り物ではなく、生活の一部でいわば命綱であり、地域振興の鍵を握っているといえる。
世界的不況による国民所得・消費の低迷が長引く中、観光産業の低迷がさらに長期化すれば離島経済が立ち行かないのは当然であり、新石垣空港開港を前にして航空運賃の低減を訴える声が日増しに高まっている。
■世界一高い航空運賃・公租公課
国内航空運賃が高い理由の一つに、受益者負担という名目の下、「公租公課」と呼ばれる利用料・税金が全日空決算の場合、営業経費の12%(外国航空会社の平均は5%程度)を占め、諸外国に比べ飛びぬけて高いことが挙げられる。着陸料も世界一高く、ジャンボ機の場合、羽田空港の94万円に対し、ロンドンのヒースロー空港は7万円と日本の空港は異常に高い。また、航空機に固定資産税を課している国は極めてまれで、日本は異常な税制といわざるを得ない。
国内旅客数が頭打ちの成熟社会を迎え、今後はアジアを中心に国際化時代を迎える今、日本の空港・港湾は、規制が多く、国際競争力を失っていると指摘されて久しいが政府には改善しようとする熱意が見られない。日本航空グループは公的支援を受け会社再建中であり、全日空グループも前期542億円の赤字決算を発表する中、航空会社の自助努力での運賃低減には限界がある。
中でも航空機燃料税は悪税で、航空機利用は贅沢であるとの発想から受益者に課税し、空港整備を行う目的で昭和47年に創設された。昭和54年から始まるバブル期に大幅増税され、現在1キロリットル当たり2万6000円だが、県内は沖縄振興特別措置法で平成24年3月まで期限付きで減額されており、国管理の那覇空港は2分の1の1万3000円、県管理の石垣空港は4分の1減額で1万9500円と納得できない差別を受けている。その他にも着陸料など国管理空港と県管理空港の負担を比較すると離島空港で恩恵が少なく、多くの差別を受けている。
■離島航空運賃の公租公課は即刻廃止を
国境の島々に住民が生活しているからこそ日本の国土は守られているのであり、救いの手をさし伸ばすことができなければ政治の意味がない。公租公課は離島住民に負担を強いる「現代の人頭税」であり、公共交通で恩恵の少ない離島住民のため、即刻那覇空港以上の税率へ低減するか、廃止を求めたい。
本年度の航空特別会計によると総額4593億円の内、公租公課など利用者負担収入が2891億円に達し、63%を占めている。これらの予算で全国98空港を整備したが、予算があるからといって建設に疑問を感じざるを得ない空港整備が数カ所あり、権益に群がる官僚と政治家たちのもたれあいを指摘する声も多い。宮古・八重山市町会は12日、航空運賃低減について県と県議会に要請を行ったが、「現代の人頭税」廃止に今後とも粘り強い行動が必要だろう。