8月
5日
2010

「朋有り遠方より来たる また楽しからずや」。…

Category: 不連続線



 「朋有り遠方より来たる また楽しからずや」。もちろん『論語』にある孔子の言葉だ。孔子は今から2500年以上も前の人。その言葉が今もわれわれの心を明るくする▼わが家には、安っぽいものではあるがその場面を描いた掛け軸がある。山を背景にひっそりと住んでいる老人。そこへ馬にわずかばかりの食料と簡単な寝具などをつんで質素な旅姿の友人が訪れる。2人は少し離れたところからにこやかにあいさつを交わしている▼もちろんそれは老人でなくてもよいし山の中でなくてもよい。そこは画家1人ひとりの想像の世界▼やがて絵の中に雨が降り、現実のわが家の庭にも雨が降り、雨の中をぬれながら久しぶりの友人が現れる。衣服についた雨滴を払って座敷へはいり、2人で絵の雰囲気を分かちあう▼「昔はこの島にもこんな風景があったなあ」「ホラホラ、ワラで玉子を5つばかり包んでさ、そのワラヅトを2、3本かかえてそれが訪問のあいさつだった」「もてなしも熱い濃いお茶に味噌、せいぜい黒砂糖のカケラ」「祖母たちもしばし苧(ブー)を績む手を休めながらお茶を飲みのみ世間話を織っていた-」▼「また 楽しからずや」。友が来たそのことが、そのことだけでほのぼのと楽しい和やかな恵みの時間をつくり出してくれていたのだ。(八重洋一郎)

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