Category: 社説
緊急アピール発表の非常事態
■観光客ら10人が死亡
水難死亡事故が多発している。7月26日現在、15件発生で死亡9人、行方不明1人の計10人と、昨年1年間の16件発生、5人死亡を既に上回る死亡事故多発の非常事態だ。
これを受けて中山義隆石垣市長も同27日、「これ以上八重山の海で犠牲者を出してはならない」と異例の緊急アピールを発表、郡民や観光客らに注意を喚起した。
確かに沖縄の夏は長く、海のシーズンはまだまだこれからが本番というのに、早くも10人が犠牲になるというのは04年の12人をしのぐ勢いであり、非常事態といえるだろう。
また死亡・行方不明の半分の5人は本土からの観光客であり、楽しい八重山の旅が一瞬のうちに悲しい旅になってしまった。喜んで日本最南端の島々に送り出した息子や娘、あるいは父、母の肉親らがまったく予想もしない変わり果てた姿で帰ってくる。それは遺族や友人らだけでなく、温かく歓迎したわたしたち地元の人たちにとっても大変に辛く悲しいことだ。それだけにこれ以上犠牲者を出してはならない。
それではどのようにすればこうした悲しい事故を防ぐことができるか。実はそれが難しく、犠牲者は毎年後を絶たない。
■観光の島にダメージ
石垣海上保安部や八重山署、竹富町など関係機関代表らと一緒に緊急アピールを発表した中山市長は、八重山の水難事故はシュノーケリング、ダイビング中に多発しているとして、事故対策に5項目の注意事項を挙げた。
要はそれをどう観光客らに的確に周知徹底するかだ。水難事故防止はそこに尽きるともいえる。
毎年発生する死亡事故に対し、関係機関団体も独自に正しいシュノーケルの使い方で講習を開いたり、観光客らにリーフレットを配ったり、危険箇所には各公民館が立て看板を設置したりとそれぞれ対策に力を入れているが、それでも死亡事故は後を絶たない。
過去3年の間に2、30代の女性観光客3人がシュノーケリング中に死亡した黒島の仲本海岸は、立て看板設置のほかにライフジャケットを無料で貸し出したりするなど、懸命の取り組みをしているはずが、今年も7月に59歳の男性観光客が遊泳中に死亡した。
観光の島として歯止めが利かない、取り組みが報われない島の人たちの苦悩、ダメージは大きい。
それはそれだけ水難事故は対策が難しいということでもある。しかしそれでも事故は防がなければならない。
■注意事項、どう徹底させるか
それだけに今の対策、取り組みを検証し、見直しの必要があるだろう。それは死亡事故が続発し、今の対策が機能しているとは言いがたいからだ。
シュノーケル、ダイビング、遊泳のどちらも、「不慣れ」と「過信」が大きな事故原因だ。これらの注意事項を観光客らにどう的確に周知徹底させるかが事故防止の鍵だということは先に指摘した通りだ。同時にこれもこれまで指摘してきたように、交通安全運動のような組織体制づくりと取り組みができないものか。
交通事故は警察や交通安全協会など関係団体の強力な取り組みで水難事故より毎年の犠牲は少ない。
八重山観光の売り物は「海」だ。それが水難事故多発では負のイメージを与えかねない。観光業界も一体となって広報体制と組織体制を強化。水難事故防止で八重山の海の楽しさ,素晴らしさ、魅力をアピールしたい。