7月
28日
2010

国は余計なことしないで

Category: 社説



「対立の火種」自衛隊配備はお断りしたい

■石垣にも自衛隊基地
 国はなんで余計なことをしようとするのだろう。去る20日付けの県紙で、これまで報道されてきた与那国だけでなく、宮古、石垣にも自衛隊を配備するというニュースがそれだ。
 地元が表立って積極的に誘致したわけでもないのに、なぜ勝手に配備するのか。余計なお世話だという思いだ。しかし北沢俊美防衛相は20日の記者会見で具体的に検討を進める意向を示し、宮古や石垣に陸自普通科(歩兵)の数百人規模の国境警備部隊、与那国に同じ陸自の沿岸監視部隊数十人規模を5~8年後をめどに段階的に配備を検討していると、かなり現実的だ。
 この自衛隊配備の問題は与那国が積極的に誘致し同町の問題と思っていたら、これがいつの間にか島しょ防衛の名を借りて宮古、石垣に飛び火した形で「民主党の防衛政策は一体どうなっているのか」と正直驚いている。

■ころころ変わる民主政権
 昨年夏の政権交代直後、北沢防衛相は、与那国の陸自配備問題に関して中国、台湾を刺激することは避けたいと慎重姿勢だった。それがその後なぜそうなったのか、2011年度概算要求に調査費を計上する考えを表明して積極姿勢に転じ、そして今回の石垣、宮古への自衛隊配備拡大だ。
 これでは基地の負担軽減とは裏腹で、新たに離島にも自衛隊の基地を張り巡らして増強し沖縄はまさに“基地の宝庫”であり、日米共同の要塞だ。
 普天間問題で民主党は自公政権時に先祖返りしたが、与那国の問題も自公政権時の計画に回帰してしまった。沖縄の革新支持者にすれば自民と何が違うのか、公約に一貫性がなく、政権交代時のあのわくわくした期待感は今や大きな失望と怒り、不信に変わった。
 先島や与那国への自衛隊配備は中国や台湾の反発を招き、緊張感を高めるというものだけでなく、それぞれの島の住民間にも自衛隊賛成・反対で対立の火種となるものだ。こうした住民同士の対立が、小さな島の発展に良い結果をもたらすとは決して思えないし国は余計なことをしてほしくない。

■八重山を巻き込まないで
 自衛隊が配備されると、数百人規模の自衛隊員が常駐し、石垣の町をかっ歩する。沖縄本島のように軍人の姿を見る機会の少ない石垣市民にとってそれはどういう光景に映るだろうか。特に高齢者には再び戦時中の悪夢、悲しい思いを呼び起こすことになるのか。
 戦争を知らない世代が多数を占め沖縄戦の風化が進む一方で、自衛隊アレルギーの強い沖縄でも容認派が増えている。その島の容認派の皆さんも、住民同士の対立の火種がこの島に勝手にやってきて、そして基地負担が増強されるのは余程の国防論者でも、ありがたく歓迎とは思わないだろう。
 それともまた与那国と同様、自衛隊で地域活性化論が出てくるのか。

 国防は確かに国の専権事項だが、その国防に観光客でにぎわう平和で静かな小さな島々を巻き込まないでもらいたい。八重山はそうでなくても今現在国防に十分貢献している。竹島や尖閣諸島は人が住まないため日韓や日中、日台が領有権争いで対立している。
 そういう意味で人々が暮らす国境離島の八重山は今でも十分に国防に貢献しているといえるだろう。それだけに国は少なくとも八重山抜きの別の方法で国防を考えてほしい。日本本土の皆さんは厄介者の米軍基地を沖縄に押し付けているが、わたしたちも国対国、住民対住民の対立の火種、騒動の火種となる厄介者はお断りしたい。

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