Category: 社説
地域ブランドサーベイ2008から学ぶもの
■満足度で八重山がトップ3を独占
データ分析に定評のある日経リサーチ社(本社東京)は2006年度に引き続き、2回目となる「地域ブランド戦略サーベイ2008」を本年2月に発表したが、低迷が続く八重山観光にとってうれしい結果となっている。それによると「地域ブランド力」の上位3都道府県は北海道、京都府、沖縄県の順で3位を確保、「旧国名」は琉球(沖縄県)、讃岐(香川県)伊勢(三重県)の順となり、根強い沖縄ブームを示す結果となった。
さらに今回は訪問経験者の評価を新たに測定し、「満足度ランキング」上位3都道府県で沖縄県、北海道、京都府の順で1位、「観光地」上位3地区で西表島、竹富島、石垣島の八重山諸島がトップ3を独占、さらに宮古島は6位につけている。
地域ブランド力は、その土地の知名度、何らかの体験をして魅力や親しみを感じ、行きたい、特産品を買いたい、また行ってみたい、住んでみたいなどの段階を踏みながら形成されていくという。「再訪問観光地」のランキングで1位は西表島、2位は石垣島、3位は知床半島となり、八重山諸島はトップ2にランクされている。
日経リサーチ社によるとブランドの価値は提供する地域や生産者の側にあるのではなく、受け手である消費者の側にあるという。誘客宣伝活動などによって生まれるものではなく、消費者に良い経験が蓄積されることによって醸成されていくものだと指摘している。
■一時の金もうけ主義は破綻する
地域ブランド力ランキングで上位を確保した八重山だが今後さらに維持・発展させていくには相当の努力が必要となってくる。官民一体となった観光インフラの整備や自然環境保全はもとより、特産品として八重山は石垣牛、八重山そば、黒糖、パイナップル、マンゴー、海ぶどう、石垣の塩、八重山かまぼこ、石垣島唐辛子ラー油などを商標登録し、人気を得ているが、生産者や販売者は商品の品質管理・向上に最大限の注意を払うことが肝要だ。
必死の努力と費用、時間をかけ獲得した地位と名誉も失うときは一瞬で実にあっけないものだ。ここ数年、食の安全や偽装事件が頻発し、社会的非難と制裁を受けている。「雪印」国産牛肉偽装事件、「船場吉兆」の食材偽装事件、「白い恋人」日付偽装事件、「赤福」の日付偽装事件、「比内地鶏」偽装事件、「国産うなぎ」偽装事件などは記憶に新しい。
県内では「美ら島フーズ」が外国産マンゴーを県産と偽装して販売した残念な事件もあり、沖縄ブランドに傷をつけた。短期的な視点で経営を行い、金もうけのためバレないだろうと安易に偽装すれば後で大きなしっぺ返しを招く。
■身の丈にあった事業推進を
不安な点は残る。今回の調査は約2年前に実施されており、昨今の八重山観光の実態は悪化・変ぼうしつつある。リーマンショック後の需給環境の大幅な悪化で募集型激安ツアーが大量に販売され、大型施設の品質・サービスの低下が懸念されている。さらに新石垣空港開港を目前にして一攫(いっかく)千金をたくらみ、自分だけよければ良いとする商道徳を無視した経営を行う事業者が多数参入すれば地域のブランド力はたちまち失われてしまう。
友好観光協会である田原市のイチゴ農園の経営者は品質保持のため決して遠隔地への地方発送は行わず自ら販売を制限している。中国から移住し、全国に食べるラー油ブームを引き起こした石垣島ラー油(辺銀暁峰代表)は、その絶大な人気にもかかわらず手作りを維持し、店頭に毎朝行列ができることでさらに人気が増していることを多くの事業者は肝に銘ずべきだろう。