6月
16日
2010

新石垣空港ができたら

Category: 社説



3年後の開港に向けて何をどうすべきか

 新石垣空港建設は13年3月の開港を目指して順調に進んでいる。同ターミナル建設も去る10日に定時株主総会が開かれ、基本設計が終了したことが報告された。市街地と新空港を直接結ぶアクセス道路は間に合わないが、ターミナルは順調なら来年4月に着工し、開港には十分間に合う予定だ。
 建設場所をめぐって世界の環境団体も巻き込んで20年間も激しく揺れ動いた新石垣空港建設も、いよいよ最後の追い込みに入っている。3年後に迫った開港に向けて新空港を八重山の振興にどう活用すべきか、わたしたちも具体的に取り組む段階に来たといえる。

■いいこと尽くめの新空港?
 県の新石垣空港課は「新石垣空港ができたら」とこう述べる。2000メートル滑走路の新空港が完成すると、▽280人乗りの中型ジェット機の就航が可能となるのでより多くの観光客を運ぶことができ、観光客が増えて街は活性化。ホテルや民宿、お土産品などの関連産業が発展する▽着陸や離陸のさい航空機の輸送制限がなくなり、機能がフル活用できる▽現在の有視界着陸が計器着陸になり安全性が向上する▽市街地の騒音問題が解消される▽宮古で給油することなく本土へ直接飛べる▽貨物のコンテナ輸送が可能となり、マンゴー、パイン、花き、魚介類などの農水産物を那覇や本土の大都市圏に大量に速く運べる▽ターミナルも広くなり、需要に応じた安全でゆとりのある駐車場ができる。
 さらにつけ加えるなら第3、第4の航空会社も参入し、中台などアジアも視野にさまざま展開が可能になる。

■フライト農漁業は可能か
 このように新空港ができると、まず現在の着陸時の急激なブレーキの不快感がなくなり、安全で輸送力が増え利便性が増すことは確かだろう。しかしそれも新空港の機能を十分に活用できてこそだ。特に新空港の必要性で論議されたフライト農業、フライト漁業は果たして本当にできるのか。
 現在JAは本土にオクラ80トンを筆頭にインゲン12トン、トウガン、サトイモ各10トン、パパイア、ゴーヤ、花7万2000本余を本土に空輸している。八重山漁協はマグロ・カジキを昨年は約77トン本土に、さらにアカマチなどの鮮魚約216トンを県漁連に空輸した。
 そして郵便局のゆうパックではパイン約7万個、マンゴーは約1万9000個を昨年は本土に空輸している。
 新空港ができるとこれを2倍3倍に増やすことが果たしてできるのか。

■戦略をどう描くか
 さらに八重山の経済を支える肝心の観光産業はどうか。景気低迷でここ数年ホテルなどの業界が厳しい状況にあるのは周知の通りだ。今の状況が一過性のものなのか、3年後の開港時には果たして持ち直しているのか。景気に左右されるだけに楽観はできない。
 それにしても八重山の行政や各業界団体は、かつて経済振興の面からも新空港の必要性を訴えてきたはずだが、3年後に迫った今なおほとんど動きがないのはどうしたことか。新空港ができて輸送力が増えれば何もしないでも観光客が増え、八重山経済が良くなるとはよもや思ってはいないだろう。
 観光客を1万人増やすのが至難のわざというのはこれまでのデータが物語っている。農水産物も本土に出すものより輸送力の増加で逆に入ってくる量が多くなる可能性のほうが大だ。
 待望の新石垣空港開港に向けてどのような戦略を描くか、行政や各業界団体は具体的な取り組みが必要な段階にある。組織的な取り組みを求めたい。

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