Category: 社説
2度とあってはならない「盗用問題」
■許されぬ首相の裏切り
23日再来県した鳩山首相の発言は予想通り県民の一るの望み、期待を打ち砕くまさに裏切りだった。普天間飛行場の移設先を名護市辺野古とする方針を初めて仲井真知事に伝えたのだ。
「最低でも県外」の公約が迷走の果ての現行案回帰。知事は強い遺憾の意を、移設先の名護市長は断固反対を表明。この日県庁周辺で開かれた集会では「怒」の文字が並び、県内移設反対を初めて全会一致決議した県議らからは「裏切りは許せない。総理は約束を守れ」と憤りと反発が渦巻いた。
全国区になった今回の普天間問題で改めて鮮明になったのは沖縄にだけ基地を押し付ける日本の沖縄差別の構図だ。これではまたも“沖縄独立論”が起きてもおかしくない状況だが、そこでもっとも懸念されるのが普天間の危険がそのまま残されることだ。県民はこれからどうするのか。そのまま基地を押し付けられたままでいいのか。
■許されない盗用
この鳩山首相の裏切りにも引けをとらない問題が石垣市でも発覚した。小田原市の施政方針を引用した中山義隆市長の施政方針盗用問題だ。去る4月の就任後初の市議会で「自ら書き上げた」「中山カラー100%」と自負していたのが、実は小田原市の借り物であり、うそだったのだ。野党議員は記者会見で「盗用」を指摘し、「議会冒涜(ぼうとく)、市民への背信行為、本市の名誉を著しく傷つけた」と批判していたが、確かにそうだ。
1万6000票という過去最多得票で当選、市民から若さと実行力を期待された分、斬新な中山カラーを出そうという焦りが“勇み足”になったのか。それにしても今回のパクリ問題は、その未熟さを露呈し、大きな期待をかけた市民の信頼と石垣市のイメージを損ねたという点で誠に残念な出来事だ。
市長は謝罪会見の中で外部の2、3人の政策チームに案作りを任せていたと釈明していたが、これも小沢民主党幹事長らの「秘書にすべて任せていた」の「政治とカネ」の弁明とまるで同じであり、さわやかイメージの市長に似つかわしくないものだ。
■政策実行で汚名返上
ネット社会の今日、施政方針も各種条例も、あるいは議員各氏の一般質問も今回のように他の市町村から引用する例は多いだろう。しかしそれはあくまで参考であり、今回のほぼ丸写しの例は市長の政治理念、資質、モラルが問われるあまりにお粗末に過ぎる2度とあってはならない事例といえる。
問題は今後だ。24日の臨時議会は市長の陳謝にもかかわらず紛糾し、野党側の賛成多数で百条委員会が設置された。展開によっては市政が混迷する可能性もある。さらに同問題は子どもたちに与える教育的影響もあるし、相手市長の了解を得たから良いというものでもないのも確かだ。
しかし市長にも施政方針演説までの準備期間があまりにも短かったなど同情すべき点もある。さらに直ちに記者会見や新聞広告で市民に謝罪し、新川字会の運動会など各種催しでも潔く非を認め、深く反省の姿勢も見える。
就任してまだ2ヵ月の、政治家としてまだまだ未熟な市長にとって今回の問題は、今後の市政運営の大きな教訓になったはずだし、切実に肝に銘じるべきだ。真摯に反省し、議会の百条委調査にも誠実に対応。市民の信頼回復と汚名返上へ今回のように外部スタッフだけに頼らず、職員や議員の力を積極的に取り入れ、よりスピード感ある政策実行で答えていくべきだ。