Category: 社説
八重山の将来展望をどう切り開くか
■変わらぬ差別構造
沖縄が日本本土に復帰して満38年の15日、県内では基地も核も戦争もない平和な世界を実現しようと恒例の5・15平和行進と県民大会が開かれ、さらに翌16日は5年ぶり5度目となる人間の鎖で基地を包囲する普天間基地包囲行動が県内外から1万7000人が参加してこの日も大雨の中行われた。
27年間の米軍支配から念願の日本本土に復帰して38年、利便性は格段に向上した。しかし県民所得は依然最下位で自立発展への道のりはいまだ遠い。
何より基地問題では、先日の石原都知事の「沖縄の人には気の毒だが、もう一回我慢してくださいというしかない」の発言に見られるように、どこが政権をとっても所詮は同じ。日米安保を理由に過重な基地負担を押し付ける日本の、いや日本国民の「厄介者は沖縄」への差別構造は変わらない。
沖縄の自立経済に影響を与え続ける基地問題に、県民はいつまで振り回され、県政もいつまでエネルギーを費やさなければならないのか。27日の全国知事会議での論議に注目だが、同時にいつまでも基地を嘆いてばかりいられない。県民も未来を切り開く努力をさらに続けていかなければならない。
■自立遠い八重山経済
ひるがえって基地の重圧のない八重山はどうか。確かに社会資本の整備は本土に引けをとらないほどに大きく進んだ。しかし八重山も経済的自立はまだまだ遠い。本郡経済を支えてきた公共事業は大きく様変わりし事業費は200億円台を切るなど激減の一途。コンクリートから人への民主党政権では今後も期待できないが、離島経済の公共事業への依存度は強く、自然再生事業に知恵を絞る必要がある。
八重山の中核産業の観光は、不況の影響をもろに受ける不安定な産業を改めて露呈し、新石垣空港開港後にも不安を与えている。沖縄ブームで観光客の増加とともに移住者も増え、自然破壊など一時期八重山の自然文化に不安を与えたが、今では移住者も本土に引き揚げ、ブームは沈静化した。
一億総中流の時代が、日本経済は今や貧富の差が拡大する格差社会になっている。それに不況が加わり八重山観光や八重山経済にも大きな影響を与えている。低額旅行商品の横行と外資の進出は、低賃金の非正規社員など雇用の不安定を生み、それは八重山のまつりを盛り上げるなど、せっかく新天地を求めてやってきた本土の若い移住者たちが「ここでは仕事も少なく賃金も安く、自然の良さだけでは暮らしていけない」と引き揚げの要因になった。
■未来志向で活性化
経済を活性化するにはそれだけの人口規模が必要。しかしそれには使い捨てでない待遇面でも安定した職場と、そのための産業振興が必要。公設市場通りはまだにぎわいを見せているが、別の通りは観光客減少の影響か、このところ空き店舗が目立ってきた。農業も不況の影響で黒糖が売れず、肉用牛も口蹄疫が追い討ちをかけている。
このように「今の若者は将来どうなるのかわからないし可哀そう」といわれるほど現在の格差社会と不況は、八重山の若い世代の雇用と生活にも厳しい影響と不安を与えている。
しかしだからといって悲観ばかりもしていられない。今の状況をどう打開していくか。先行きは確かに厳しいがぜひ未来志向でいきたい。まず3年後に開港する新石垣空港を活性化にどう生かすか。急ぎ論議の必要がある。本土に復帰して満38年、課題も多いがその分楽しみも多いと考えたい。