Category: 社説
技術開発で新たなビジネス展開も
■巨木・古木は1級の観光資源
「♪真っ赤なデイゴが咲くころは」と歌われ親しまれて来た県花デイゴが今、壊滅の危機にある。2005年に外来の農林害虫である「ヒメコバチ」による被害が初めて石垣島で確認されて以来、たちまち全県に拡大し、最近では奄美諸島まで被害が及んでいる。原因はヒメコバチの被害によるほか、復帰後の開発工事による樹根の切断など樹勢の衰えなどが考えられるという。
外来害虫の侵入は国際交流の進展と共に増加し、国境の街の負の一面であろうか。デイゴは3月から4月に咲く春の花で、この季節、本土では桜が満開となり花見客で賑わうが、沖縄の校庭では卒業式、入学式のシーズンを飾り、県民の多くが深い愛着と思い出を抱いている。
復帰から38年で18倍に伸びた八重山観光だが復帰当時の観光スポットのひとつに「伊原間の千本足ガジュマル」があり、人気を誇っていたものの観光客の増加と共にガジュマルの樹根が踏み潰され、いつの間にか枯れてしまった。西表島の「サキシマスオウの木」も同様で、古見にあった初代サキシマスオウの木は立ち枯れ、現在は仲間川沿いの群生地をロープで囲い板張りして生命をつないでいる。
復帰後大量に街路樹として植栽した「ココヤシ」も害虫の被害でほぼ全滅、地元産の「八重山やし」や「福木」に植え替えて安定してきた。
■NPO花と緑の石垣島に拍手
デイゴの危機的状況を受け、石垣島デイゴ再生プロジェクトを推進しているNPO花と緑の石垣島(前津栄信代表)は行政からの助成を得、市内のデイゴ所有者に対し緊急点検を呼びかけ樹木医の診断や薬剤の注入など対応策を進めている。同法人は従来から新川川の福木植栽、御神崎のテッポウユリ植栽、琉球松、巨木、古木の保護等に取り組んでおり、島を愛する地道なボランテイア活動に対し惜しみない感謝と支援を送りたい。
中山義隆石垣市長は「日本一幸せな街づくり」を目指して当選したが、良い街の指標にはいろいろあり、「花と緑あふれる街」がその一つであることは言うまでもない。世界的に人気の高いスイスやフランスの観光地はどの街でも花と緑であふれている。
アジアやアフリカ、南米など途上国の観光地は花と緑が少なく、砂漠化が進み山や川は茶色の荒涼とした風景が多く目に付く。石垣市が持続的に発展するためには住んでいる人が街に誇りを持ち、訪れる人々が住んでみたいと思う街にならなければ日本一の街へ成長することが出来ないことは論を待たない。
■市民や企業・行政の支援を
プロジェクトは緒に就いたばかりだが助成金の都合上1年限りで打ち切りと聞く。デイゴ再生は根気のいる長期の事業であるにもかかわらず財政の都合で中断すると効果がないと危ぶまれている。同法人では事業の継続のため、コンビニなどに募金箱を設置して市民から寄付金を募るとともに再生基金募金口座を各銀行・金庫に開設した。
同様の募金活動は石垣市観光協会が推進している「美ら海・美ら山募金」などとも関連があり、今後類似団体と連携して募金活動を行うほか、再度石垣市、議会も街作りのため予算化の検討をお願いしたい。
政府は日本の成長戦略の中核に環境・健康・観光の3Kを柱に据えている。害虫駆除の技術を開発できれば環境と観光の立場から新たなビジネスとして全国展開することも可能となり、行政を巻き込んだ地域ファンド設立も視野に入って来る。これらを実現するには多くの費用を必要とするが、財政が悪化する中、アメリカ方式の寄付しやすい控除税制の検討など政府や自治体としての研究が必要になって来るだろう。