5月
8日
2010

特別支援学校の寄宿舎実現喜ぶ

Category: 社説



要請から16年、離島苦を軽減

■集団生活で自立を支援
 集団生活に慣れただろうか。県立八重山特別支援学校の寄宿舎「みらい」に、17人の子どもたちが入舎して1カ月が経過した。5月はホームシックになりがちな時期で、職員は生活の変化を見逃さずにサポートしてほしい。
 同校はこの春、大きく変わった。これまでの知的障がい「単独型」の八重山養護学校から、聴覚、視覚などすべての障がいに対応する「総合型」特別支援学校となり、校名も変更した。
 幼稚園部も新設、バリアフリーの新校舎、体育館も完成し、充実した施設の中で57人の児童生徒が新年度の学習を始めている。
 この教育環境の充実を喜びたい。中でも寄宿舎の設置は長年の課題だっただけに、実現は感慨深いものがある。 同施設は最大24人の受け入れが可能という。集団生活を通して掃除や洗濯など基本的生活習慣を身につけ、子どもたちの自立を支援するものだが、併せて親の子離れを促す効果もある。相乗効果を期待したい。

■厳しい離島の教育環境
 寄宿舎は実現までに16年もの長い歳月を要した。1994年、竹富町内の心身障がい児を持つ親が「スオウの木の会」を結成し、勉強会を重ねて要請行動を起こしたのがきっかけだ。
 離島の障がいを持つ子どもたちの教育環境は厳しい。宿舎がないため、特別支援学校に通うには、石垣市内に住む近親者を頼るか、両親のいずれかが町外に出るか、もしくは移住するかの選択を迫られた。
 教育の機会均等をうたわれながらも精神的にも経済的にも大きな負担を強いられていたのが現状だ。
 就学時になると一家で引っ越すケースもあり、さらに本島の全寮制養護学校に入学しても、月2回の寮休日に帰島を余儀なくされるという問題を生じたこともあった。
 寄宿舎は離島の障がいを持つ子どもたちの就学保障の場である。長い歳月をかけて訴え続けた「スオウの木の会」は感慨深いものがあるだろう。
 さらに幼稚園部の設置も大きな進展だ。幼・小・中・高一貫教育環境が整い、集中的に学習支援できる態勢になったことはうれしい。

■職業教育の強化に期待
 ただ第1期入寮生17人のうち、竹富町の子どもは1人、与那国町が1人だった。寮の実現まで待てず、転居したというケースや親の仕事関係でUターンが難しいなど、さまざまな事情があっただろう。
 ともあれ、子どもたちは新しい生活を始めた。集団生活に戸惑いもあろうが、規則正しい生活の習慣付けは自立の第一歩だ。一日も早く不安感をなくし、余暇活動も充実させるよう学校、PTAの取り組みに期待したい。
 特別支援学校の環境整備と総合型の変更で障がい教育支援体制は充実し、離島の悩みも軽減されたが、親の不安は尽きない。
 それは卒業後の進路だ。これまでハピルの会が結成され、そこで働く卒業生、あるいは民間企業に就職した者、いこいの家で活動する人もいる。
 同校は就労教育に力を入れている。しかし卒業生の社会受け入れ態勢はまだ厳しい。このため今後、障がいに応じた専門的な職業教育をどれだけ進め、行政、民間企業と連携して就労の場を拡大するかが大きな課題だ。
 特別支援学校の新たなスタートに当たり、その課題克服への取り組みを期待したい。

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