3月
11日
2010

十六日際で墓へ出かける。徒歩でゆっくり…

Category: 不連続線



 十六日際で墓へ出かける。徒歩でゆっくり路地をたどり野道へ出てやがてわが家の墓へ着く。昼からは仕事のため午前十時過ぎ。早い時刻なので人出はほとんどない▼あたりを見わたすと最近急に豪邸(?)とも言うべき墓が増えている。八重山ではマイフナー(甲斐性ある男子)の最後の仕事は立派な墓を造ることだからこれらの墓も当主の思いがたっぷりと込められているはずだ▼ところでこのような石墓やコンクリート墓の出現はやはり火葬の影響であろう。以前は墓にはまず通風と湿気が求められた。遺体がよく腐敗するためである。時々、完全に密封した結果、何年か後の洗骨の際にミイラ状の遺体がそのまま出てきたという話も聞いたことがある▼従来の風葬、曝葬から火葬への移行にはいろいろ心理的葛藤(かっとう)があって、例えば「火葬されるくらいなら死なない」と言って長生きした人もいたくらいである▼近年は人の意識も完全に火葬となり、墓地さえ公共施設やアパートや人家に囲まれてしまったが、十六日際ともなれば無信仰の私でさえ墓へ詣で、またわざわざ都会から帰郷する者もいる。地元3高校は卒業式を延期したほどだ▼習俗の根強さ、それはすなわち私たちの生きる姿であるが、その根強さをしみじみ感じた一日であった。(八重洋一郎)

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