3月
6日
2010

青少年健全育成に関心を

Category: 社説



自転車盗県ワースト1の危機

■一向に減らぬ盗難
 市街地を歩くと、空き地などの茂みに放置された自転車が目につく。その中に乗り捨てられた盗難車がある。
 石垣市内では、以前から自転車盗の問題が深刻だ。八重山署が公表している刑法犯発生状況では毎年トップに挙げられ、さまざまな対策を講じても一向に減らない。それどころか人口1000人当たりの発生率は、県内ワースト1を維持し続けているのである。

 公共交通網が発達していない八重山は、自転車への依存度が高い。子どものいる家庭には、ほとんど自転車がある。一家に数台というケースも多く、通学や通勤、日常生活の手軽な交通手段として多くの人々に利用されている。
 その大事な自転車を盗まれてはたまったものではない。用事を済ませて帰ろうとすると自転車がなかった、あるいは自宅から消えていたという経験を多くの市民がしている。

 八重山署には毎年100件前後の自転車盗難届けがあるという。今年も1月末までに14件、昨年の同じ時期に比べて6件も増えている。
 ただ「被害届を出しても見つからない」とあきらめる人も少なくなく、この数字は氷山の一角といえよう。

■「自転車盗なくし隊」発足
 後を絶たない自転車盗の対策で、近年は安全なまちづくり推進協議会を中心に防犯登録の徹底や二重のカギを使うツーロック、安全な保管場所への心がけなど自主防犯意識の啓発運動が繰り広げられている。

 毎月26日をツーロックの日と定め、定期的にパトロールや点検、防犯キャンペーンも行っている。この住民に対する防犯意識の啓発は極めて重要だ。さらに強化、徹底してほしい。
 だが自転車盗の最大の問題は、犯行の大半が子どもたちの行為であるということだ。少年の一部とはいえ、これは根が深い。

 先日、八重山署と市民ボランティアが「やいま自転車盗なくし隊」を結成した。その出発式で東濵和治八重山署長は「犯人のほとんどが少年で、隊の結成は青少年健全育成の観点からも重要」と訴え、地域取り組みを促した。
 自主防犯への意識は、盗難が相次げば必然的に高まろう。しかし根幹にある少年犯罪の対応は家庭、学校、地域が一丸となって取り組まなければ解決できないのである。

■低い罪の意識
 昨年、不良行為で検挙された少年の4割超が自転車盗だったという。乗り捨てられた盗難車を乗り回し、占有離脱物横領で検挙された中、高校生もいる。対応した警察官は「罪の意識が低い」と問題視する。
 自転車盗の問題は、最終的に盗んだ子の親の責任として収められる。確かにそれは否定できない。だがその他の非行問題を含め、学校や地域がどれだけ青少年健全育成活動にかかわっているのだろうか。

 近年は近所付き合いが薄れ、近くの子どもたちを知らない人が増えた。深夜に出歩いても声をかけず、しからない。地域コミュニティー意識が弱くなったことが、非行問題を抑止できない背景のひとつにあろう。
 八重山の子どもたちは素直だ。大人がきちんと向かい合えば応えてくれるし、そう期待したい。
 多くの市民が「自転車盗なくし隊」に積極的にかかわろう。公民館は地域の放置自転車調査などで青少年健全育成の意識を高め、八重山署は、各小中学校で出前講座も開いてほしい。
 安心、安全なまちづくりは住民が共同意識を持つことだ。無関心では成し遂げられない。

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