Category: 不連続線
仕事に一段落がついたので散歩に出かける。初夏のような日差しを浴びながらあちらこちら歩く。道の舗装がところどころひび割れてそのすき間に青や緑のコケがぎっしりつまり、まるでアウナズ(青大将)がくねっているようだ▼ダチュラの花が黄色く白く重そうにズラリと首をたれている。時々シャモの子どもが小さな羽根で力いっぱい羽ばたいている。久しぶりの晴天に植物や小動物までがのんびりと幸せそうだ▼帰りは昔の瓦屋根やフクギが残っているあたりをと見当をつけて、ある一画にさしかかると思いがけない光景が現れた▼ガッチリ建っていた家が撤去され大きな屋敷が空き地となってとり残され、誰もいない屋敷にはカンヒザクラが3、4本いまを盛りと咲いている。青空を背景に紫がかった濃い緋の色がしみ入るように美しい▼その家の子供たちは大学入学を期に大都市へ出ていまはその地で大活躍。一方、親はだんだん齢をとり家屋敷の維持にも困難を覚えはじめ、そして都会の子供たちのもとへと呼び寄せられたのであろう▼世代が確実に交代していく。暮らしの姿が少しずつ変化していく。人にも島にも時間がたっていくのだ▼過ぎ去ったあれこれの場面が浮かび上がり胸がいっぱいになる。花は無心に咲いているが、いつまでも人の心をゆすり続ける。(八重洋一郎)
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