Category: 社説
ビッグニュース、国内最古の人骨発見
■市役所幹部に危機感が欠如
沖縄路線を運航する航空4社(ANA・JAL・JTA・RAC)は平成22年1月度の輸送実績が15カ月連続で前年同月を下回ったと発表した。中でも深刻なのが離島中心のRACで12.4%減、JTAの9.3%減で、沖縄本島がメインのANAは5%減、JALは3.5%減となった。
低価格志向を強める消費者は沖縄本島に比べ割高な離島観光を敬遠したことが浮き彫りになった。厚生労働省の2009年、勤労統計速報によると月間給与総額は対前年4%減の31万5000円で、実労働時間は3%減の1773時間、統計の比較可能な1991年以降、最大の減少幅となり、国民所得の悪化を示している。
アジア経済が回復する中で産業の一部に明るい兆しがあるものの、多くの企業は景気の先行き不透明、不安感から雇用の非正社員化等、人件費を削減する動きがさらに強まっており、外食や旅行、レジャー費を切り詰める内向きの消費行動が続くと指摘されている。
市役所幹部から「低迷の原因は八重山の魅力が低下したのではなく、比較的健闘している。新空港が出来れば大丈夫」との発言があるが、若者の旅行離れ等、消費動向・旅行ニーズの変化、価格破壊を受けている第一線の現場を理解しない発言であり、危機意識がなく公僕として全くの怠慢と言わざるを得ない。
■石垣島を人類学研究の基地に
限られた所得の中からやり繰りして旅行を楽しむ消費者の「観光地選び」は、従来に増して年々厳しくなってきており、美しい自然や文化、人情だけでは国内最高額の費用と時間をかけて訪れてもらうのは困難だ。
新しい八重山の魅力をさらに高める努力が必要で「環境保全」だけでは他の観光地に客を奪われて仕舞う。
その意味で去る4日、新石垣空港敷地内の白保傘根田原洞窟周辺遺物散布地から出土した9点の人骨が調査チームによって国内最古となる2万年前(旧石器時代)のものと発表したことは、西表ヤマネコ以来、久しぶりのビッグニュースで明るい話題となっている。調査チームの東京大学米田准教授によると、2万年前の地球は「最終氷期」で最も寒冷の時期であり、台湾や大陸とヒトの往来も予想され、移動ルートは不明だが日本人の起源や東アジアの人類学上、貴重な発見となった。
石垣島に2万年前からヒトが存在していたというのは驚きでロマンが広がる。
近年は歴史・歴女ブームであり、新空港周辺にアジアを見据えた「研究・展示施設」を建設すれば石垣島の魅力をさらに深めて学術や観光振興に寄与することが出来ると提案したい。
■「まちなか散歩ツアー」に期待
さらに(株)タウンマネジメント石垣(玉城亜康代表)は4月から商店街周辺の歴史や観光スポットを徒歩で回る「まちなか散歩ツアー」を市内銀座通り内の「まちなか交流館・ゆんたく屋」を発着点に有料で開始すると発表した。自然・文化や歴史に親しみ市民との交流を深めてもらう目的だが関係者の期待が高まっている。
いうまでもなく観光は運輸や宿泊などハードを持つ観光業者だけのものでなく、市民全体が参加することによって、交流が広がり持続的な発展につながるソフト産業である。
全国各地に観光ボランテイアの手法があり、石垣市観光協会では過去にボランテイアガイドを立ち上げたが運営上の課題が多く有名無実化した経緯がある。
しかし、沖縄本島では「平和学習ガイド」や長崎市の遊びやスタンプラリーを取り入れた「さるくガイド」など成功例も多い。地域一体となってこれらソフト事業成功に向け着実な一歩を踏み出すことが重要だ。