1月
9日
2010

戦略的な産業振興計画を

Category: 社説 Tag: 新石垣空港



新空港効果を最大限に生かせ

■着々と進む新空港建設
 3年後の新石垣空港開港に向けて建設工事が進んでいる。用地も99.9%を確保し、滑走路の大部分が姿を現した。来年度にはターミナルビル建設も始まる予定だ。
 新空港は計画から30年余りの紆余(うよ)曲折を要しただけに、郡民の期待は多大なものがある。

 八重山の将来を担う重要施設で、開港時には日本トランスオーシャン航空(JTA)、全日空(ANA)の両社に加えてスカイマーク社も那覇~石垣路線乗り入れを表明しており、トリプルトラッキングで利便性の向上、競争による運賃低減などの効果も期待される。
 さらに新ターミナルビルには、免税店も入居する見通しだ。第3種空港の免税店は全国的にも珍しく、それだけに新石垣空港が有望視されているといえよう。
 新空港は、言うまでもなく住宅密集地の騒音、危険性除去、運航条件の制限を解決することだ。
 これにより滑走路が短く、気象条件次第で旅客や貨物などの重量制限を余儀なくされている現空港の問題点は解消される。

■海外への展望もひらく
 国内航空業界は現在、極めて厳しい状況にある。これまで右肩上がりで伸び続けてきた八重山観光入域も、不況でマイナスに転じた。このため航空各社の経営見直しや運航計画の再編が今後、どのような形で波及するのか不透明だ。
 しかし、その不安要素を抱えながらも八重山は、航空3社乗り入れ計画や台湾航空会社が定期路線開設に意欲を示していることもあって、悲観的ではない。
 むしろ新空港開港で計画的な運航が可能になり、航空会社の収益性も改善されるほか、昨年24時間稼働を開始した那覇空港の国際貨物ハブ化との連携で海外輸出への展望も拓けるようになった。

 これまで八重山のフライト農・水産物は築地や太田市場など本土市場に照準を合わせていた。それが那覇経由で香港やシンガポール、中国・台湾などの海外大消費地も狙える状況にあるのだ。
 すでに琉球在来豚のアグーを増殖、香港など海外市場への輸出も目標にする農家も出ており、さらには高級魚・アカジンミーバイの陸上養殖計画を前に、海外市場調査も行われている。

■まだ弱い産業連携
 ところがこのような情勢の中で、行政の動きが見えない。石垣市は島の将来を描く総合計画、観光基本計画、現空港跡地利用計画の検討を進めているが、新空港開港に向けた戦略的な産業振興策は乏しく、まだイメージを描けていないのだ。

 サトウキビや畜産、水稲、熱帯果樹に養殖など、既存の第一次産業を推進するのは基本だ。
 これに観光産業を組み合わせて経済効果を高めるが、市の製造業を見ても生産高は県内で最も低い。年間70万人台もの観光客が訪れる地域としては、まだ産業連携が弱いといえよう。
 主力の観光産業にしても、滞在日数をいかに伸ばすか、あるいは海外からの観光客をどう誘致するのか、さらに受け皿づくりをどう進めるのか、決め手に欠く。
 グローバル化して行くモノ、人の流れの中で、いま戦略的な産業計画をたてなければ、新空港の効果も十分に発揮できないだろう。産業振興なくして街づくりも進まないのである。

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