1月
3日
2010

夜空を見上げてみよう 八重山は世界有数の観察環境

Category: 自然・科学 Tag: VERA 天体 石垣島天文台



日本一の星空がそこに

 夜空を見上げてみよう。年間を通して、いくつ星座を探すことができるだろうか。星をよく知っている人なら、国際天文学連合が決定した星座88個のうち84個を確認できるはずだ。
 石垣島など八重山諸島は、北緯24度にあり、本土に比べると緯度で10度以上も南に位置する。このため本土では水平線の下になる南の星も見えるのだ。その上、ジェット気流の影響が少なく、上空の大気が安定しており、土星や木星など太陽系の惑星もくっきり。八重山が日本一の星空と言われるゆえんはそこにある。
 
■VERAがきっかけ
 太陽系の惑星観測研究にはうってつけといえる場所に2006年3月、石垣島天文台(前勢岳)が建設された。きっかけとなったのは、名蔵で2002年に整備された口径20メートルの電波望遠鏡VERA(ベラ)。

 国立天文台が1988年、東京大学の研究所であった東京天文台と国内の天文研究施設を再編統合して誕生した際、銀河系(天の川銀河)の立体地図をつくるプロジェクトを立ち上げた。
 石垣市名蔵など国内4カ所に設置している望遠鏡を組み合わせると口径2300キロメートルの望遠鏡に相当する。これで、はるかかなたの銀河系の星の位置と動きを観測し、立体地図を完成させようという壮大な取り組みだ。
 ただ、「電波望遠鏡は世界最高でも、星が見えない」。そんな声を受けて開催した天体観察会には250人超の参加者が訪れ、さらに「南の島の星まつり」を企画すると2000人を超える人たちが集まった。こうした市民や観光客の関心の高まりに応える形で国立天文台が2億円、市が4000万円を出して石垣島天文台を建設した。
 
■波及効果
 石垣島天文台は2006年4月から一般への公開が開始された。利用者は07年度で7440人、08年度には8179人と増加しており、09年度はさらに増えそうな勢い。
 来訪者の8割以上は県外から星にロマンをもとめてやってくる人たち。石垣島天文台と「南の島の星まつり」の効果だろう、「星の島」というイメージの広がりを感じさせる数字となっている。
 単なる研究施設としての機能だけではなく、さまざまな分野で生かされている。国立天文台のほか石垣市、市教育委、県立石垣少年自然の家、NPO八重山星の会、琉球大学が運営協議会を組織して運営に当たっているためだ。

 土日祝日の天体観望会は、星の会が駐車場整理から受け付け、星空ガイドまでボランティアで行っている。少年自然の家では、宿泊型学習の一環として夜間の星空観察を取り入れている。連携授業として琉球大学でも天文学の講義が始まった。
 さらに09年の離島フェアで星まつりが奨励賞を受け、黒糖セットの「星に願い」が優良特産品に選ばれた。ほかにも星にちなんだ特産品が誕生、夜空に浮かぶ星がいろんな可能性を広げてくれた。
 
■街灯に工夫を
 まちの明かりにも変化が起き始めている。副所長の宮地竹史さんは「水銀灯がナトリウム灯に代わり、傘をかけたり、箱形の照明が増えてきている。空に向けて光を出さない工夫が市道や県道などで進んでいる。東京から来る天文関係者も前勢岳から見る夜景の変化に驚いている」と言い、「星空を観光資源として生かすためにも、街灯など野外の照明に、より一層工夫をしていただければ」と促す。
 一方、天文台へのアクセス道路の整備が十分でないのが難点。市内からの道路標識もなく、天体観望会の夜は「毎回道に迷う方がおり、電話で誘導している」のが実情のよう。倒木、雑草の繁茂、真っ暗なアクセス路。夜間の運転が「怖い」との苦情も寄せられており、改善の必要がありそうだ。

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