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波照間島で現地プリントサービスの試験運用

 昨年の10月より、波照間島において新聞紙面の現地プリントサービスの試験運用を開始した。波照間島は、八重山諸島の離島の中でも外洋に位置し、悪天候による交通障害が起こりやすい。事実、季節によっては月の半分近くでまともに新聞が届かないという状況にある。  近年、光ファイバーなどの高速な通信インフラの整備が進み、大きなサイズのデータをやりとりすることがストレス無く出来るようになった。IT(情報技術)ソリューションというには、まだまだ泥臭い作業の介入もありコストも掛かるが、将来的には、インターネット網を活用した読者サービスを広く展開していきたい。そのきっかけとなる波照間島においての現地プリントサービスの概要を紹介する。 ■現地プリントサービスとは  現在、本紙の製作は、ほとんどの工程でデジタル化されている。その過程で使われるのが、PDF(Portable Document Format)と呼ばれるデータファイルだ。このフォーマットは、印刷業界はもちろん、家庭用のパソコンでも、無料のソフトウエアを使って簡単に利用することが出来る。この紙面PDFファイルを外部のネットワーク経由でも安全にデータ転送が出来るSCP(Secure Copy)を介して暗号化し、本社から波照間島まで転送している。  送られたPDFデータは現地の本紙通信員が、A3サイズの用紙2枚1組で出力し、それらをはり合わせ、新聞と同じA2サイズにしている。その簡易新聞を島内5カ所にある共同売店の協力を得て店内に掲示している。 ■2ヶ月間の試験運用経て  台風17号の影響で全便が欠航した昨年の10月4日に初めて各共同売店内に現地プリントされた新聞が掲示された。10月で7日間、11月で4日間の掲示があった。売店を訪れた島民らは、「台風の時、石垣やほかの離島の状況が分からなかったのでたすかる」「今までは知人が亡くなったのを葬儀が過ぎてから知ることもあった。謹告欄を見ることが出来てありがたい」などと話していた。また、「なぜ今まで思いつかなかったのか」といった声も寄せられており、波照間島以外の離島でも同様の需要があると思われる。  通信インフラは台風や悪天候の影響を受けることなく順調に稼働し、サービスが止まることは無かった。データ転送の通信速度も実用可能な速度が十分出た。  波照間島には本紙通信員は1名しかおらず、不慮の出来事があった場合、サービスが滞る可能性がある。また、掲示されている新聞では、ゆっくり読めないので、自宅で新聞を読みたいという読者の声も届いている。このあたりを解決していくことが今後の読者サービスの課題だろう。 ■今後のオンラインサービス展開  波照間島や与那国島では輸送の関係で、平常時でも新聞の配達が午後近くになっている。また、本土の読者の手元に本紙が届くのは翌々日になる上に、送料が掛かるので購読料が倍近くになってしまう。  冒頭にも述べた通り、既に高速・高品質なブロードバンド回線が日本全国に整備されつつあるので、各家庭に新聞紙面そのもののデータを配信することは技術的には可能だ。携帯端末もますます進化しており、それらへも新聞紙面を配信することが可能だ。  へき地の医療や学校教育でブロードバンド回線の地域主導の利用がなかなか進まない中、新聞社の読者に向けた活用もそれらと大して変わらない。八重山毎日オンラインで数本の記事がパソコンや携帯電話から読むことが出来るが、購読料を払ってまで読みたい情報量ではない。また、そういった目的で運用されている訳でもない。  これからの時代、新聞紙面をオンラインで読める仕組みを構築しなければならないだろう。現状は、セキュリティの確保や著作権など解決しなければならない問題が目の前に横たわるが、これらを解決し、なるべく早い段階の実現に向けて努力したい。  過去に、電子ブックや電子新聞配信事業がいくつかあったが、現れては消えていった。  インターネットの世界はインフラも含めて数年前とで隔世の感がある。  また、利用者の行動も大きく変化しているように感じる。若い世代は携帯電話を非常に上手く使いこなしているようだ。情報の収集はもちろんのこと、コミュニケーションツールとしてつかったり、音楽を聴いたりテレビを見たりと日々の生活に欠かせない情報端末になっている。  昨年の年末商戦でデパートなどは苦戦していたことは記憶に新しい。一方で、「楽天」や「ヤフー」のネットショップは1日の売り上げが過去最高を記録したようだ。  これは、自宅で余暇を過ごす「巣ごもり」型の生活志向の強まりが追い風になっていると分析されている。また、不景気を背景にデパートの包装紙に価値を見いだす時代は終わりつつあり、インターネット上でクレジットカードなどを使い買い物をすることに抵抗感がなくなってきたからであろう。  このような状況を、数年前と比較してみると、オンラインで読める新聞が受け入れられる土壌は整いつつあるのではと予感させる。  2010年はオンライン新聞購読サービスの試験運用を開始し、波照間島の試験運用で浮き彫りになった離島読者の訴えの声に応えられるよう全力を尽くしたい。

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