12月
17日
2009

何年か前、沖縄タイムス八重山支社におられた…

Category: 不連続線



 何年か前、沖縄タイムス八重山支社におられた渡辺豪さんが本を出された。題して『国策のまちおこし』。現在は中部支社編集長の彼が嘉手納の実情を徹底的に探った報告である▼宮城篤実町長はよく頑張って村おこしに成功したと思われているが、その宮城氏さえ、本質において国益を優先し沖縄を押さえ込もうとする「国家の罠(わな)」からは逃れられなかったのではないかという内容である▼つまり沖縄振興の目的は沖縄の自立的発展ではなくむしろ自立の芽を摘み基地を維持するためだった(エピローグ)というのである▼この分析は的確だ。分析自体も秀れているが、その分析態度はさらに素晴らしい▼彼はもともと兵庫生まれのナイチャーで日本の鍵は沖縄だと、わざわざ毎日新聞をやめ沖縄タイムスに入社しなおした人物である。沖縄住民となって11年、職業柄、外務省や防衛省の役人などさまざまな日本人に会う機会があるが、そのたびに彼は「基地は本土へ」と言い続けている(あとがき)▼私は感動した。この人は信頼できる。沖縄問題というとたいていは国の立場からの外交・防衛的発言が多いが、その中にあって彼のこの発言は極めて貴重である。沖縄のわれわれが日本人に求めているのはこのような人間の立場からの倫理的発言、倫理的思考なのである。(八重洋一郎)

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