Category: 社説
迷走続く普天間移設
■自公政権との違い見せよ
これで本当に政権は変わったのか。そう思わせるのが米軍普天間飛行場の移設問題だ。政権に就くまでは県外か国外移転を訴えてきた民主党だが、今は自民党政権とどこがどう違うのかと沖縄県民を落胆させる迷走ぶりだ。
鳩山首相はまだそこまでは発言していないが、岡田外務、北澤防衛の両大臣はマニフェストには「県外や国外移設は書いていない」と、自公政権が米側と合意した名護市辺野古移設の現行計画を容認する発言をしたり、嘉手納統合案を出したり、グアム移転に難色を示したりと、新政権への期待が高かった分、集団自決の教科書検定問題への対応も含め、むしろ県民の反発は強くなっているのが現状だ。
政府は今日に何らかの方針を示すようだが、選挙期間中に訴えてきたように県外もしくは国外移設に決めて米側と交渉に当たるべきだろう。
迷走する民主党政権に米側の不満も頂点にあり、これを受けて岡田外相も現実の日米関係への悪影響に苦悩を深めているという。しかし政権が変わるということは、オバマ政権がそうであるように日本も政策が変わるのは当然のことだ。鳩山首相はこの機会にこそ自公政権との違いを明確にし、民主党が言う対等な日米関係で沖縄県民の思いをぜひかなえてほしい。
■うれしい2つの発言
ところで市内のある元校長が「最近感動したことが2つある」と話したことが印象深い。その1つが飲酒事件を起こした八重山商工のプロ野球ドラフト3位選手へのダルビッシュ有投手(日本ハム)の「たたいてつぶすのは簡単だけど、みんなで温かく迎えてほしい」発言と、あと1つが橋下大阪府知事の「沖縄の米軍基地は日本全国で受け入れるべきだ」との発言。
ダルビッシュ投手は自らも高卒間もない新人時代に喫煙問題で叩かれ、それを乗り越え今や押しも押されぬ日本の大エースとなっているだけに、中学野球を指導したことのある地元の元校長として、未来ある若者へのエールがことのほかうれしかったようだ。
さらに橋下知事の「沖縄の負担軽減のため」の発言は、実際の受け入れには日本全国のほとんどの自治体が反対だけに、マスメディアでも発言力のある橋下知事のこの思いに感動し、移設進展を期待した県民は多いはずだ。
■危険が居座りの懸念
連日「普天間」がメディアをにぎわし、全国区になったのは確かに民主党政権効果であり、橋本知事発言もその効果の1つといえる。しかし全国区になったのはいいが、現実は県外移設も国外移設も、言うは易しできわめて難しいというのが現状だ。
国内は橋下知事以外に移設論議にすら積極的に手を上げる自治体はない。国外も与党議連は「閣僚などは辺野古しかないと思い込まされている」と、沖縄の海兵隊8千人を受け入れるグアムへの移転を求めているが、グアム知事は受け入れ能力がないと否定的だ。このまま迷走して沖国大にヘリが墜落したように普天間にそのまま危険が居座り、固定化するのは怖い。
しかしそういうリスクがあっても、民主党としてしっかり結論を出さなければ二進も三進もいかないだろう。県外かあるいはグアムなど国外に決めて全国の自治体や米側と交渉すべきだ。
同問題では八重山も辺野古移設反対集会を開き、市議会も県外や国外の移設を求めて意見書を採択している。今後もそのつど全国に米軍基地負担の軽減をアピールしていく必要がある。