11月
25日
2009

苦戦する赤い羽根募金

Category: 社説



不況、格差社会だからこそ「ユイ」の心

■過去9年、目標に届かず
 10月1日から全国いっせいに始まった赤い羽根共同募金は、12月末のゴールに向けて既に後半戦に入っている。しかし近年赤い羽根共同募金は、長引く不況に加えその他の寄付も多いため苦戦を強いられ、県全体では02年から7年連続、石垣市は2000年から9年連続も目標額に届いていない。

 終戦直後の1947年から始まった赤い羽根共同募金は今年で63年になるが、確かにかつてこの時期になると街頭で小中学生の子どもたちから「お願いしまーす」の声がかかり、道行く人々は善意の象徴として胸に赤い羽根やバッジを付けて出歩くのが普通の光景でいわばこの季節の風物詩であった。
 しかし、ますます強まる不況風、小泉構造改革以降の格差社会は、まちや地域からかつてのこうした光景を奪い、“社会的弱者”にさらに厳しい時代になっている。募金額の減少は社会福祉施設や団体への配分額の減少につながり、そのぶんボランティア団体らの活動が制限され、社会福祉施設などへの援助が減ることになる。それだけにこういうときだからこそ沖縄の美風である相互扶助の「結いマール」の心で一人ひとりが助け合いたいと願う。

 募金は都道府県単位で行われ、集まったお金はその都道府県で各市町村社会福祉協議会を通じて使われる。県内の実績は97年度の2億5700万円をピークにその後減少を続け、ここ7年は目標に届かず昨年度は1億9100万円に落ち込んでいる。

■募金は何に使われる?
 石垣市も10年前の98年度は837万円超あったのが毎年減り続け9年前からは目標の70%前後で昨年度は561万円に留まっている。しかも目標もそのつど下げてだ。そのぶん配分額も減り続け、石垣市社協には10年前の510万円が昨年度は278万円に約半減した。しかし使い道は多様で多彩だ。

 市社協の昨年度の例で見ると、重度障害者施設ハーモニーの車両購入に250万円助成したのを始め、障害者フェスティバル、ボランティア養成講座、がんじゅうの集い、1人家庭いきいき教室、補聴器適合助成、高齢者友愛訪問活動、手話サークル、点訳サークル、要約筆記サークル、八重山網膜色素変性症仲間の会、視覚障害者協会、母子寡婦福祉会、石垣ろうあ者友の会などに数万円単位で助成している。
 これらの団体や施設にすれば「2、3万円で何ができるか」の不満があるだろうし、一方で社協も「もっと出してやりたいが」との思いもあるだろうが、結果は前述の通り厳しい。

■長者の万灯・貧者の一灯
 深刻化する不況で失業者が12カ月連続増の363万人に達し、昨年暮れから90万人以上増加している。さらにかつて「国民の約9割が中流意識」だった日本は今いずこで、格差社会はさらに進み、今では雇用・貧困対策が緊急の政策課題になっている。しかし、だからこそニーズも多く、赤い羽根募金の役割もさらに高まっているといえる。
 募金の方法は職域、戸別、学童、街頭、大口があるが、やはり企業や篤志家など大口寄付の依存度が高く、さらに子どもたちが学校などで少しの金を持ち寄っての学童募金も赤い羽根ならではあろう。また職場で少しずつ釣り銭を貯めての募金も大きな支えだ。

 私たちはこういう厳しいときだからこそ、暗い夜を明るく照らす「貧者の一灯・長者の万灯」に熱く感謝し、さらに八重山の「結い」の心でこうした助け合いの輪を広げ、少しでも明るい社会づくりに貢献したいものだ。

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