Category: 社説
コールセンターが業績不振で撤退へ
■鳴り物入りの企業誘致
石垣市がIT事業支援センターを整備し誘致したコールセンター(株)もしもしホットライン(本社東京)が撤退を検討し、10月下旬から事業を休止していることが報じられている。
同社は石垣市が06年度に国のIT事業創出体制強化事業を導入。旧県八重山土木事務所を総事業費約3億8000万円で整備したITセンターに、「最大で400人以上、24時間営業なら600人の雇用効果がある大きな職場が石垣市に誕生する」と大浜石垣市長がわざわざ記者会見までして、いわば“鳴り物入り”で誘致した業界の中では一部上場の大企業。2007年7月に開所したが、業績不振を理由に2年3カ月で休業に追い込まれた。
現在41人の1年ごと更新の契約社員は、休業補償を受けながら自宅待機を強いられている。同社は石垣市の事業継続要請に対し、今月中に結論を出すとしているようだが、現状ではこのまま撤退となりそうな雲行きだ。
石垣市では同社の最終判断を受けて今後の対応を検討するとしているが、その場合、市としてなぜこういう結果になったのか、市の対応は果たしてこれでよかったのか、今後の企業誘致に向けて当然検証があるべきだろう。
それは支援センターの施設整備に国の事業を導入して4億円近い資金を投入しているのに加え、オペレーター養成にも国の事業を導入して3カ年で約1億5000万円を投入しているからだ。
■甘い市の対応
通常市有地などを払い下げる場合など市はある一定期間、転売や目的外使用などを特約条項で禁止しているが、今回のケースで巨費を投入しながらまったくそのような“しばり”がなかったのは、それこそ「甘い対応」だったといわざるを得ないだろう。
やはり他の入居企業も含めて最低何年かは事業を継続するとかの特約と罰則付き契約が必要ではなかったか。
市にすれば難しい条件をつければ入居する企業が来ないのではの懸念があったとすれば、やはりそこも甘いといわざるを得ないだろう。
しかも支援センターは、市が年間952万円の賃借料を県に支払い、入居企業から1平方メートル当たり1000円の賃借料を受けて運営しているだけになおさらだ。ちなみに08年度は収入1785万円、支出1861万円で76万円の赤字だった。これが大手のコールセンターが撤退となれば市の赤字はさらに膨らむことになり、鳴り物入りでスタートしたITセンターは、逆に“お荷物”になりかねない。
■二の舞い避けよ
会社側は休業理由に、景気の急速な悪化で業務が減り、一方で業界の需要は底堅いが、会社自体に石垣島で業務を行うメリットを訴求できなかったことを挙げている。加えて1カ月程度事業所長が未配置だったケースもあったようであり、企業としての努力もいかがなものだったか疑問もある。
一方で八重山にコールセンターのような企業が向いていたかどうか、社員のやる気はどうだったのかの検証も必要だ。それはオペレーター養成講座を延べ275人が受講したが、実際に同センターに就職したのはわずか30人しかいないというからだ。これはどうしたものか。非正規社員だったからか、接客業務が不得手だからか。
石垣市は県に本島在IT企業の誘致を働きかける考えもあるようだが、現在の契約社員の今後の処遇に配慮し、今回の事例が十分検証されないとまた同じ轍(てつ)を踏みかねない。