Category: 社説
路線廃止は地域の死活問題
■神戸直行便の存続を
企業再生支援機構に支援を要請中の日本航空(JAL)は来年6月までに不採算路線である国際線8路線、国内線8路線を廃止すると発表した。国内線は中部空港から熊本、花巻、釧路の3路線、北九州空港から那覇の1路線、神戸空港から羽田、那覇、千歳、石垣への4路線となっている。これとは別に長野県松本空港や開港したばかりの静岡空港からの撤退も検討中とした。
JALは世界的な経済環境の悪化や新型インフルエンザによる旅客需要の低迷で赤字幅が急速に拡大し、人員削減はもとより年末賞与の支給停止、年金の大幅な減額など大胆なリストラ策の徹底は避けられない見通しとなった。入域客減少が続いている八重山の観光業界にとって神戸直行便(JTAの運航)の廃止は年間3万5000人余の入域減につながり、厳しい事態となっている。神戸空港は年間260万人の利用実績だがJALグループの撤退で100万人余減少し、空港経営が成り立たなくなる可能性があることから路線存続はまさに死活問題となっている。
石垣島まつりに参加した(財)神戸国際観光コンベンション協会の安岡観光部長やスマイル神戸らは「せっかくできた石垣市とのきずなが途切れないよう神戸市として強力に取り組むので石垣市でも一緒に路線の存続活動をしてほしい」と訴えている。
■JTAのふんばりを期待する
JALグループの子会社であるJTAの本年度上半期(4月~9月)の決算内容は、売上高は前年比4%減の231億円となったものの燃料費の減少や人件費を含む諸経費の削減で経常利益は9億円(前年度の2.8倍増)を確保したと発表した。親会社が赤字経営で年末の資金繰りに苦しむ中での好決算であり、まさに優良子会社である。
JTAが運航している北九州~那覇線の稼働率は64%、神戸~那覇線が58%、神戸~石垣線が63%で決して悪い数字ではないが、団体やパッケージツアー客が多く、低単価で採算性が低いとした。しかし、現実にこれだけの需要・輸送実績があるわけだから工夫次第で存続に向けての打開策はなかったのだろうか。
JAL本体の経営危機に巻き込まれるかたちで結論を急ぎすぎたのではないか疑問が残り残念である。親会社との費用分担など不明な点もあるが路線の存続へ向け知恵を絞り再検討をお願いしたいものだ。
■公共輸送機関の使命と責務を問う
JALのライバル会社である全日空(ANA)は沖縄の地理と24時間運用できる特性を生かし貨物を那覇空港に集約しアジアに向け、貨物のハブ空港として新貨物ターミナルビルをオープン、業務をスタートした。
ANAは創業時から民間企業であり、全社一体の企業努力もタイムリーで経営の健全性を保っている。就航路線の改廃、顧客サービスの充実など今や勢いの差は歴然としていて、ANAが東京・大阪・名古屋など石垣直行便を撤退した際には本土各路線の乗り継ぎ割引や莫大(ばくだい)な費用で離島キャンペーンを展開して廃止に代わる効果的な対策を行い、減少を食い止めたことも評価されている。
高速道路やJRなど代替輸送手段のない離島住民の暮らしを支える公共交通機関の使命をどう守るのか政府とJALに問いたい。
JALグループが神戸路線などから撤退するならばANA・スカイマーク社など他社に路線を移管することや共同運航も選択肢になってくる。JAL支援のため融資を超えて税金を投入する事態になればANAなど他社との競争や公平の見地から新たな問題が発生するだろう。