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商業乱獲で絶滅の危機 与那国固有種のヨナグニマルバネクワガタ

沖大・下地研究員が学会報告 世界的にも異例のケース
 【那覇】与那国島にのみ生息する島固有の亜種、ヨナグニマルバネクワガタが商業的な目的で乱獲されたことにより、絶滅の危機に瀕しているとする学術論文が自然保護学会に提出され、今年7月に同学会誌に掲載された。同論文を提出した沖縄大学地域研究所特別研究員の下地幸夫氏によると、ヨナグニマルバネクワガタの危機的な状況に加えて石垣、西表島に生息するヤエヤママルバネクワガタも乱獲などで個体数が減少傾向にあるという。琉球列島の各島々固有亜種保存に向けて、与那国町をはじめ郡内全域で早急な対応が必要だ。  マルバネクワガタは琉球列島の各島々ごとに固有亜種として生息。中でもヨナグニマルバネクワガタは日本最西端の与那国島に生息する島固有亜種のクワガタで琉球列島の種の分散、種分化の解明において高く評価されている。  宇良部岳や与那国岳のイジタイ林内に生息しているが島内の森林規模が小さく、1990年から個体数が急速に減少。県の野生生物リストで絶滅危惧I類に指定されている。  下地氏の論文によると、ヨナグニマルバネクワガタは甲虫コレクターに人気が高く、1頭あたり1000円~5万円で取引され、1990年代から大量に捕獲されたことに加えて生息環境が悪化したことから急激に個体数が減少。  同クワガタを捕獲、本土の卸売業者と取引していた同島の住人(故人)が下地氏に提供した資料から捕獲頭数を予測。90年に600頭居た成虫が93年には200頭、96年には十数頭、97年に数十頭に回復したものの、その後は10頭前後を推移している。  現在でも十数頭しか生息していない状況となっており同島住民も「最近見なくなった」と話し、インターネットオークションでは現在も同昆虫の標本が1万円前後で販売されているという。下地氏は「昆虫類が商業的大量捕獲によって全滅寸前になることは世界的にも初めてのケースではないか」と指摘する。  同クワガタは県の野生生物リストで絶滅危惧I類に指定されているものの、採取にあたって罰則が適用さない。また、同種の生息区域が県の天然保護区域に指定されているが、月1回、保護指導員がチェックするだけで、植物の採取状況は確認できるものの、動物の採取状況は確認が難しい。  環境省那覇自然環境事務所でも同種を「絶滅の危機的状況にある」として種の保存法による規制も検討しなければならない段階にあると危ぐしているが、同法による規制対象とした場合、地元の子ども達も同クワガタの採取や保護区域への侵入が規制されるため、与那国町での保護策を促している状況だという。
  • タグ: 与那国島絶滅危惧種
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